【消費者庁】公益通報保護に関するガイドラインを改正
2014/07/01 労務法務, コンプライアンス, 労働法全般, その他

消費者庁は、6月24日公益通報者保護制度に関わる「行政機関の通報処理ガイドライン」の改正を発表した。
アルツハイマー病の早期発見、治療法の開発を目指すプロジェクト「J―ADNI(ジェイアドニ)」をめぐり、研究者によるデータ改竄の内部告発メールを厚生労働省の担当者が、研究代表に転送していたことが発覚。公益通報処理の過程で個人情報の適切な管理を求める声が高まっていた。
今回の主な改正点は以下の通りである。
①通報の「秘密」のみならず、「個人情報」についても、他人に知らせたり、不当な目的に利用してはならないこととする
②通報に関連する相談の段階でも個人情報保護が必要であることから、相談の処理に関与した者は、相談に関する個人情報等を漏らしてはならないこととする
③通報窓口担当者など「通報処理に従事する者」だけでなく、「通報処理に関与した者」(直接の担当者ではないが電話を取り次いだ者等)も個人情報等を漏らしてはならないこととする
④正当な理由なく個人情報等を漏洩した職員に対しては行政機関が、懲戒処分その他適切な措置をとることとする
⑤各行政機関の職員は自らが関係する通報事案の処理に関与してはならないこととする
公益通報者保護法とは
不正目的でなく内部告発を行った労働者を保護する法律。通報したことによる、解雇その
他不利益な取り扱いは無効である。
【通報対象】
個人の生命、身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保などにかかわる法律に規定する犯罪行為
【通報先】
組織内部、所管の行政機関、外部事業者(マスコミ等)の3つ。通報先によって保護されるための要件が異なる。通報先が外部であればあるほど保護の要件は厳格になる。
①組織内部:通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合
②行政機関:通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合
③外部事業者:通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、且つ以下のような事由を追加することで要件が加重されている。
ⅰ公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ⅱ公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
コメント
内部告発を行った者は、それゆえに解雇など不利益な扱いを受けないことは法律上明記されている。
しかし、解雇、降格、減給などのあからさまな処分ではなく(表向きは正当な理由での)人事異動や配置転換、職務内容の変更が行われる可能性がある。その場合は明確な証拠を提出すことが困難な場合が多く通報者の保護に欠けることとなる。
また告発を受けて、自主的にコンプライアンス体制を充実させる組織もあれば、中にはなんら改善策を示さない組織もある。
法律の実効性を確保するためにも企業などが当該法律を遵守しない場合には、罰則規定を設けるなどの法改正が必要である。
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