撲滅せよ!サッカーにおける差別的表現
2014/06/17 コンプライアンス, 民法・商法, その他

サッカーにおける差別的表現
今年3月、J1第2節浦和レッズVSサガン鳥栖の試合中、浦和サポーターが観客席において「JAPANESE ONLY」と記した横断幕を掲げ続けた。FIFA(国際サッカー連盟)は、このような差別的表現・人種差別を固く禁じており、JFA(日本サッカー協会)は、浦和レッズに対し、Jリーグ発足後初となる無観客試合の制裁を下した。
また、2011年、日本代表川島永嗣選手が当時所属していたベルギーのリールスVSビーアショットの試合中、ビーアショットのサポーターが、「カワシマ、フクシマ」と川島選手を東日本大震災にかこつけた野次を飛ばし、川島選手は涙ながらにピッチを後にした。
これらは、サッカーの試合中に行われる差別的表現の一例に過ぎず、日本では余り頻繁ではないかもしれないが、外国ではサッカーの試合中における差別的表現は後を絶たない。これを受けてFIFAは、2013年にサッカー界の人種差別撲滅を達成すべく対策委員会の初会合を開き、試合会場での監視役の配置や2段階の制裁システムを提案した。
サッカークラブも企業の一つであり、コンプライアンス業務が重要であることは他の企業と同様である。試合の運営もクラブが責任を負い、さらにサポーターの管理もしなければならない。サッカーが純粋なスポーツとして信義誠実に、かつ、公平に行われるための予防法務の必要性は大きい。
コメント
今月13日、ブラジルワールドカップが開催し、4年に1度の祭典に全世界が熱狂している。サッカーは人々の心を、国を熱くする。それはきっと、純粋なスポーツとして年齢・国籍等に関係なく、チーム一丸となりがむしゃらに勝利を目指す姿に感動を覚えるからだ。そこに、差別的表現・政治的意図が入り込むと、その純粋さが失われ白けてしまう。サッカーがビジネスとして大成するのも、感動というプライスレスな力がサッカーに秘められているからだと思う。
そして、感動の渦を生み出すには選手だけではなく、サポーターの歓声も必要だ。だからこそ、浦和レッズに課された無観客試合という処分は、試合にサポーターを参加させないという意味では相当重い。しかし、その歓声に差別や侮蔑は要らない。そこに表現の自由(憲法21条1項)が問題にはなり得るが、差別的な言葉を発したいという自己実現までを表現の自由は保障していないと考える。サポーターがサッカーに与える力が大きいからこそ、感動を無くさないために、クラブはサポーターの質を保たなければならない。JFAが浦和に課した無観客試合の処分は、今後人種差別を撲滅するというJFAの強い気持ちの現れだと思う。
差別を撲滅するために、法を学んだ者が、クラブの一員として予防策を考え、生じた問題に対処し、サッカーが与えてくれる感動を守る必要性は大きい。
Jリーグが発足してから約20年。日本は5回ものW杯に出場している。このような急成長を遂げた国は他にない。現在も、遠いブラジルの地で、日本国民全体の期待を一身に背負い、W杯優勝という頂きを目指し、サムライブルーの選手・スタッフが一生懸命に闘っている。初戦のコートジボワール戦は惜しくも敗れたが、まだまだ残り2試合ある。あなた達が見せてくれる闘志は私たちに勇気を与え、もたらしてくれる感動は希望を与えてくれる。今まで積み上げてきたものを信じ、日本代表としての誇りを持って、堂々と闘ってきて欲しい。
2011年になでしこジャパンがW杯を掲げた姿は、まだ記憶に新しい。男子もきっとそれを成し遂げられるはずだ。
ガンバレ日本!!!
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奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
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