「ほっかほっか亭」と「ほっともっと」の争いに最高裁が判断
2014/04/03 商標関連, フランチャイズ, 商標法, その他

事案の概要
弁当チェーンの「ほっかほっか亭」を展開するほっかほっか亭総本部と同チェーンから離脱して「ほっともっと」を展開する、株式会社プレナスのフランチャイズ契約を巡る裁判の上告審で、最高裁は3月31日プレナスの上告を棄却した。これによりプレナスに約11億円の支払いを命じた控訴審判決が確定した。
対立の経緯
ほっかほっか亭とフランチャイズ契約を結び、九州地区を中心に弁当販売を行っていたプレナスが東日本を統括する株式会社ほっかほっか亭を吸収合併、さらにほっかほっか亭総本部の買収を目指した。
「ほっかほっか亭」の商標権を保有する株式会社ほっかほっか亭を買収したプレナスは、商標権使用料をほっかほっか亭総本部に請求したが、総本部は独占的使用権を主張してこれを拒否。両者の関係は悪化し、総本部はプレナスにフランチャイズ契約の更新拒否を通知するに至った。
2008年プレナスはほっかほっか亭から離脱し、ほっともっとを立ち上げた。
裁判の流れ
総本部は、プレナスがフランチャイズ契約更新拒否の通知を受けたにも関わらず、営業を続けたのは競業禁止条項に違反するとして約100億円の損害賠償請求を東京地裁に提訴。2010年同地裁はプレナスの契約違反は認められないとして、請求を棄却した。
総本部は請求額を約23億円に減額し控訴した。2012年東京高裁はプレナスが契約終了前に「ほっともっと」に変わりますと記載したポスターを掲示したり名札や帽子を従業員に着用させるなどして「ほっともっと」の宣伝を行い競業禁止条項に違反したとして、一審判決を変更しプレナスに約11億円の支払いを命じた。
2014年3月31日上述のお通り、プレナスの上告が棄却され東京高裁の判決が確定した。
なお、プレナスは総本部によるフランチャイズ契約の不当な打ち切りにより、新たなチェーンの立ち上げを余儀なくされたとして、総本部に対して損害賠償を求める訴訟を起こしている。
2012年一審東京地裁は「契約更新を期待できる状況にあり更新の拒絶は許されなかった」とし総本部に約5億円の支払いを命じた。
これに対し二審東京高裁は、プレナス側に信頼関係を破壊する行為があったと認定し、「両社の共同事業はもはや困難で契約更新の拒否には正当な理由があった」としプレナス敗訴の判決を下している。
フランチャイズ契約の参考裁判例
①コンビニ加盟店が本部の経営手法を批判する雑誌記事を店内のコンビニ情報掲示板に掲示したことに対して、「本部は加盟店に対してコンビニ情報の掲示中止を再三にわたり要請したのにも拘わらずこれを中止しなかったのは当事者間に信頼関係が破壊された事実があった」としフランチャイズ契約の解除が認められた(名古屋高裁平成14年5月23日)
②加盟店の本部に対するロイヤリティーの不払いを理由とする解除が解除権の濫用に当たらないとされた。本部と加盟店の間で3回にわたり、ロイヤリティーの支払いを約する覚書が交わされ、支払いの猶予期間も与えられていた。また本部は営業停止による混乱も考慮し調停の申し立ても行ったいたことから両者の信頼関係は破壊されたものと認定し、本部の解除権の行使は権利の濫用には当たらないと判断された(東京地裁平成18年2月21日 )
③本部が消費期限切れの原材料を使用していたことがマスコミに報道された。加盟店はブランド価値の維持義務違反を主張した。本部はフランチャイズシステムの信用、名誉、のれんを傷つける行為を行ってはならない契約上の義務があるとしたものの、義務違反と損害との因果関係は否定された(東京地裁平成22年7月14日)
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登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
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