世界で戦う。国際大型M&Aまとめ。
2014/01/20 商事法務, 戦略法務, M&A, 会社法, その他

ソフトバンクのボーダフォン社(英国)日本法人の買収
2006年3月に買収に合意。ソフトバンクの全額出資子会社であるBBモバイル株式会社を通じてボーダフォン社株式の取得を進め、同年4月27日に同社発行済株式総数の99.5%を保有するに至り、買収完了。買収総額は1兆7500億円。
JTのギャラハー社(英国)買収
2006年12月、世界3位の座を強固なものとするため、ギャラハー社と買収に合意。異なる市場で強みをもつ両社が相互補完性を発揮できることへの期待から合意に至った事例である。買収総額は約2兆2000億円。
この買収以前の1990年代後半に、国内のたばこ事業は限界に達していた。そのため、JTは1999年に、グローバル化を目的として、RJRナビスコ社米国外たばこ事業(RJRI)を約9400億円で買収し、世界第3位のたばこメーカーとなっていた。
武田薬品工業のナイコメッド社(スイス)買収
製薬事業で国内最大手の武田が欧州での事業強化と新興国での事業拡大を目指し、2011年5月に買収合意にこぎつけた。買収総額は1兆1100億円。
武田は無借金経営を続けていたが、6000億円を複数の金融機関から短期借り入れしたため、手元資金や自己資本比率は過去数年で最低水準なる見込みではあった。しかし、欧州や新興国での成長や、買収初年度から安定的なキャッシュフローがもたらされるとの想定から、リスクを取ったケースといえる。
ソフトバンクのスプリント・ネクステル社(米国)買収
2012年10月に最終合意。内容面で一部変更を経た後に、2013年7月11日に買収完了。買収総額は1兆8000億円。
ドコモおよびKDDIとの三つ巴となっている国内の携帯電話事業は頭打ちの状態にある。米国携帯電話事業で3位の地位にあるスプリント社を買収することで、両社を合計した顧客基盤は日米市場で最大級に、移動体通信事業の売上高は世界第3位になる。国内にとどまらない世界的なネットワーク企業への足がかりとなる買収といえる。
サントリーのビーム社買収
2014年1月13日、買収に合意。買収総額は1兆6500億円。ビーム社は米国蒸留酒事業で首位を誇り、買収によりサントリーは蒸留酒事業で世界10位から3位に浮上する。
サントリーは国内事業中心の体質からの脱皮をはかるため、これまでも積極的なM&Aを行ってきており、2013年9月には、グラクソ・スミスクライン(英国)の飲料事業を総額約2100億円で買収していた。
コメント
多くの業種において、すでに日本市場は大きな成長が望めるとはいえない状況である。こうした状況下で、多くの企業がより巨大で成長の余地を残す海外市場に目を向けてきたのは必然の流れである。上記の事例以外にも、電通によるイージス社(英国)の買収等、近年は多くの国際的なM&Aが行われている。
こうした国際的なM&Aのメリットは、海外市場で成長するために要する膨大な時間をお金で買えることにある。具体的には、販売・流通網の活用や、統一化によるコストの削減、さらに既に確立されたブランドを利用すること等があげられる。もちろん、こうしたメリットだけでなく、巨額の投資にはリスクが伴う。
メリット・デメリットを踏まえ、今後どのような企業が世界に打って出るのかに注目したい。
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