空き缶を持ち去らないでください-福岡市、条例制定へ
2013/08/30   法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要

 福岡県福岡市は、今月20日、空き缶など資源ゴミの持ち去りを禁止する条例を制定する方考えを示した。平成26年春の条例施行を目指す。

 市によれば、何者かが夜間に無断で資源ゴミ(空き缶など)を持ち去るケースが頻発している。持ち去りは自転車や軽トラックで行われ、持ち去る者の多くはアジア系外国人や野宿者などの生活困窮者であるという。

 被害件数は平成21年度には4件であったのが、24年度には191件に達している。市に寄せられる苦情も跡を絶たない。また、資源ゴミは、有料指定袋に入れて外に出し、夜間に市の委託業者が回収した後に粉砕し、鉄やアルミなどの金属を回収業者に売却して市の収入(年間1億5千万円程度)となっている。したがって、無断の持ち去りが増加するほど、市の財政を圧迫することになる。また、回収業者にとっても無断持ち去りが増加すれば、仕事が減ることになる。実際、鉄とアルミの売却量は減っており、無断持ち去りを食い止める策は急務である。

 市ではこれまで、パトロールや張り紙などで無断持ち去り禁止を訴えてきたが、「持ち去りを見つけても注意する法的根拠がない」ことがネックとなり、思うように成果を上げることができなかった。

 福岡県内では、福岡市以外に、久留米市など4市町が既に同様の条例を定めている。

コメント

 本条例施行に向けては、行政、民間業者、市民、特に生活困窮者の利害が絡み合う複雑な問題がある。
 空き缶の回収は、野宿者等、生活困窮者にとって残された数少ない、唯一の生活手段となっている。空き缶の無断回収禁止を規定する条例は、制定が議論されるたびに、生活困窮者の生活の糧を奪う生存権侵害(憲法25条)、彼らに悪者のレッテルを貼るという社会的排除につながることが危惧され、批判の声も多くあがる。

 制定にあたっては、検討委員会が設けられ、大学教授や回収業者、警察関係者ら13名が出席している。今後は行政や委託先の民間業者のみならず、市民との対話も求められるだろう。また、生活困窮者が空き缶を回収しなくとも最低限の生活ができるように、支援する策も練らなくては根本的な解決にはならない。
 
 今後の動向について、特にゴミ回収や、金属回収企業の法務担当者は、注目すべきニュースである。

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