「新永住権」誕生??
2013/08/27   労務法務, 外国人雇用, 労働法全般, その他

事案の概要

 日本政府は、成長戦略として2020年までに、外国企業の日本への直接投資残高を35兆円に倍増する目標を掲げている。そして、そのための手段として政府は出入国管理法(以下、入管法)を改正し、外国人に対し、日本に3年在留すれば申請できる「新しい永住権」(以下、本権利)を与えることを検討している。優れた能力を有する外国人経営者や技術者を、国内に呼び込むことが目的である。

 本権利が仮に認められれば、永住権では認められない配偶者の就労や親、家政婦の帯同が可能となる。こうすることで、優秀な外国人が日本に長期滞在しやすい環境を整えることが出来る。本権利を取得した後、単純労働に就くことを防止するため、就業職種に制約が設けられるなど、通常の永住権にはない制限があることも特徴である。

 ところで、実は政府は昨年5月に、年収や技能が一定以上の水準にある在留外国人(大学教授や技術者、経営者ら等)について、通常10年必要とされている永住権取得のための在留歴を、5年に短縮する「高度人材ポイント制度」を始めている(法務ニュース2013/7/10記事参照)。しかし、認定者数は2013年4月時点で、目標数値である2000人を大幅に下回る、434人を記録している。そこで、政府は年収制限の緩和や論文、学位をポイントとして加算するなど、人材ポイント制度の拡充も進める。

 政府は来年の通常国会にて、入管法の改正案を提出する予定である。

コメント

 日本では少子高齢化がますます進み、労働人口も不足気味である。そこで、こうした労働人口の不足を補うべく、優秀な外国人を雇うことも選択肢の一つとして大いにあり得ることである。そのための手段として、永住権の基準を大幅に変えることが考えられ、本権利もその一種である。永住権を得た外国人であれば、安心して長期雇用が可能となり、企業にとっては大きなメリットとなる。

 しかし、優秀な外国人を呼び込む競争は、世界に目を向けるとなかなか厳しいものがある。日本が昨年から導入している「人材ポイント制度」はカナダやイギリス、オーストラリアなどの移民大国で既に導入済みである。また、カナダや香港では一定金額以上の不動産や株式に投資すれば居住権を認める「投資移民」制度を導入し、富裕層の誘致に努めている。世界のこのような風潮をみれば、日本は移民政策に関しては、まだまだ遅れているのが現状である。

 また優秀な外国人を受け入れる企業の不安や懸念として、「日本語能力の不安」や「外国人向けの社内教育の必要性」、「社会保険への加入が日本人と同じでよいか」等幅広く多岐にわたる。先進的に高度の外国人人材を活用している一部の日本企業では多くのメリットを享受しているようであるが、未だ多くの日本企業において、こうした外国人人材の活用の必要性を認識しつつも、上記懸念によって、採用に踏み切れていない所が多い。人材のグローバル化、労働人口の増加を進めるためにも、法律や関連制度の整備だけでなく、企業側の受け入れ態勢を確立していく必要が今後ますます望まれる。

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