インド最高裁、裁判所内のセクハラ防止に動き出す
2013/07/22   海外法務, 海外進出, 外国法, その他

事案の概要

 インド最高裁は、7月18日、女性を裁判所内でのセクハラから保護するためのガイドラインを策定した。

 最高裁は、1997年、10人以上の女性従業員を雇用する組織内でのセクハラ防止策の策定を義務付ける評決を出していが、これが裁判所内にまで適用されてはいなかった。
 裁判所で仕事をする女性、特に弁護士などは、裁判所との雇用関係にないため、適用の対象とは考えられていなかったのである。

 裁判所内でのセクハラについては長く問題となっていたが、今年の初めに、デリーの裁判所で、女性トイレが、裁判所職員の携帯電話で盗撮されるという事件が発生し、これが今回のガイドライン作成に対する決定的な後押しとなった。
 保守的な法曹界に対する、女性弁護士たちの怒りは頂点に達し、裁判所へセクハラ防止策の策定を求める声は高まった。これを受けて、裁判所も重い腰を上げ、セクハラ規制に動き出すこととなった。
 最高裁内に、草案策定のための委員会が設けられたが、そのメンバーのうち男性は2名だけという画期的なものだった。
 
 実際にセクハラが行われた場合の手続きは、以下のようになされる。

 セクハラの苦情の申し立ては、それを受付ける独自の委員会に対して行われる。受理された申し立てについては調査が行われ、45日以内に調査結果が出される。セクハラが認定されれば、その加害者は、最大1年間、裁判所内への立ち入りが禁止されることになる。

コメント

 インドのセクハラ被害は非常に多く、女性にとっては危険な国の一つである。女性の17%以上が職場で、セクハラの被害にあっているとの調査結果も存在する。
 法の番人である裁判所ですら、今まで本格的な対策を行っていなかった事実からも、同国の女性保護制度の不十分さが伺える。
 もっとも、今年、セクハラ対策として社内委員会を設けることを義務付ける新たな法律が制定されるなど、改善の兆しは見えているようである。
 こうした試みが、インド社会にどう根付いていくのか、法の運用や、改正の動向を注視していく必要がある。

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