電力自由化の光と影
2013/06/21 法務相談一般, 民法・商法, その他
事案の概要
電気事業法の改正案が今月17日kから参議院で審議入りし、可決する見通しである。
電気事業法改正案は電力の自由化を①広域系運用の拡大、②小売および発電の全力自由化、③発送電の分離、料金規制の撤廃という3段階ですすめるものである。この改正案は①については、2015年、②については2016年、③については2018年から2020年を目処に法案提出を目指すものである。
①の広域的運用は広域的運用機関を設置して、各区域の受給バランスの調整をしたり、災害時の受給逼迫状況の調整を行う。
②の小売の自由化は小売参入の自由化によって、電力の購入先が自由に決められるようになる。
③の発送電分離は、電気会社の送電配電機能を法的に分離するものである。これにより競争が促進され電気料金が安くなるなどのメリットがある。
もっとも、これらの改正は必ずしもなされるかは決定したわけではない。あくまでも計画表の段階であり、③の発送電分離などは実施が困難な場合に機能分離にとどめることなどを明記しているからである。
コメント
今回の電気事業法の改正の中でもっとも注目されているのは③の発送電分離と料金規制の撤廃である。これにより、競争原理が働き消費者が安く電力を購入できる可能性があるからである。
しかし、一方で発送電分離が必ずしも電力を安く購入できることにつながらないとの見方もある。電力会社の設備投資は火力発電所の設置が1千億程度するなど、数千億程度の予算が必要である。このような数千億規模の予算を用意できる会社は少なく、実質的には参入できる会社がないことから、競争原理が十分働かない可能性がある。
また、仮に参入できる会社があり、競争原理が働く場合も消費者にとって良い面ばかりではない。競争原理が働くということは電力会社が電力を持っておくことが負担となり、最低限の電力しか発電しないことになる。そうすると、安定的な電力の供給が難しく大規模停電起きる可能性が出てきてしまう。
実際、発送電分離を厳格にしている英国では電気料金は安くなっていないし、米国では大規模停電が起きているなど、発送電分離には失敗例も数多く存在する。これらの失敗例をふまえて適切な仕組みづくりを考案していくことが重要である。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 中島 星弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- まとめ
- 会社の資金調達方法とその手続き まとめ2024.3.25
- 企業が事業活動を行う上で資金が必要となってきます。このような場合、企業はどのようにして資金調達...
- 弁護士
- 前田 敏洋弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- ニュース
- 不倫でウエルシアHD社長が辞任/役職員の不倫発覚時の対応策2024.4.26
- NEW
- 女性との不倫判明を受けて、4月17日、ウエルシアホールディングス株式会社は松本忠久社長の辞任を...
- 解説動画
- 大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間
- 解説動画
- 加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- 業務効率化
- LegalForceキャビネ公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード
- セミナー
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 企業法務ワークショップ講座
- 2024/05/07
- 19:00~21:00