女性管理職の積極登用、企業が相次いで発表
2013/05/21 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
安倍政権は、女性の活力を生かすことを成長戦略の中核に置いている。その一つとして、女性管理職の積極的な登用を企業に要請している。
これを受けて、女性管理職の割合の引き上げを発表する企業も出てきた。
日立製作所は20日、2020年度までに、課長級以上の女性管理職を現状の2.5倍となる1000人に引き上げると発表した。日立本体の従業員数は、約3万3000人で、課長級以上の管理職は、1万1000人。そのうち女性は、約400人にとどまっている。
目標が達成されれば、管理職に占める女性の比率は3.5%から8%に増えることになる。
また、執行役や理事といった役員にも女性を登用する予定だ。日立が、社外取締役以外で、女性を役員に登用するのは初という。
また、流通大手イオンは、管理職に占める女性の割合を現状の約10%から、2020年度を目処に50%とする目標を発表している。イオンは客層の多くを女性が占めることから、女性の視点に立った店舗運営を行うためにも、女性管理職の積極的な増強を進める方針だ。
さらに、大塚家具やセブン&アイ・ホールディングスも女性管理職を積極登用することを発表している。
1986年の男女雇用機会均等法施行から20年以上経過している現在、徐々にではあるが、法の理念に現実の側が近づきつつあるように思える。今後上記のような大手企業だけでなく、中小の企業までこの理念が広まっていくのか注目される。
コメント
女性管理職を増やすための方策の一つとし「ポジティブ・アクション」の活用が考えられる。「ポジティブ・アクション」とは、固定的な男女の役割分担意識や過去の差別的な雇用慣行の経緯から雇用の場において事実上の男女格差が生じている場合に、このような格差の解消を目指して女性労働者のために講じる措置のことを言う。
そして男女雇用機会均等法は、このような女性優遇措置は、男性に対する逆差別ではなく、適法であると規定している。(下記条文参照)
例えば、これまで管理職の大半を男性が占めていた企業において、女性管理職を増やすために、昇進・昇格試験の受験を女性のみに奨励したり、昇進・昇格基準を満たす者の中から男性よりも女性を優先して配置したりする場合も、「ポジティブ・アクション」として認められることになる。
女性の活力を生かすには、こうした試みや、女性が結婚、出産後も働き続けられる環境の整備等の施策も含めて、推進していく必要がある。
また、‘先ず隗より始めよ’ではないが、国会議員の女性比率を上げるなど、まず国が自ら範を示すことも必要ではないか。
関連する条文
男女雇用機会均等法
第五条~第七条 事業主が労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはならない旨規定している。
第八条 前三条の規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。
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