元派遣社員『雇止めは違法だ』 トヨタ系列会社を提訴
2013/04/03   労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要

サンシャイン60そばで自動車ショールームを運営するトヨタの系列会社「アムラックストヨタ」(東京都豊島区)から違法に雇止めされたとして、さいたま市の派遣社員(42歳女性)が2日、従業員としての地位確認などを求める訴訟を東京地裁に起こした。女性は2002年、トヨタ系の人材派遣会社から系列会社に派遣され、のべ10年以上勤務していた。見学者への対応など派遣契約の範囲外の業務が多かったため、東京労働局は昨年11月、違法な労働者派遣だとして女性を直接雇用するようアムラックスに行政指導を行った。同社は今年2月、「直接雇用には応じるが、アムラックスを閉鎖し、同じくトヨタのショールームであるMEGAWEB(東京都江東区)に事業を一本化するため、12月末に契約を打ち切る」と女性に打診。女性は受け入れず、2月で契約が終了した。女性側は「事業所閉鎖は雇止めの正当な理由にあたらない」と主張している。

コメント

会社が行政指導に応じて一定期間以上勤務した派遣労働者への直接雇用申込をし、非正規社員として雇用したものの、その後すぐに雇止めをしたという事案である。雇止めの可否の判断基準は労働契約法18条において明文化されたが、考慮すべき要素は判例の積み重ねが生きている状況にある。本件は上述の事情から原告には厳しい闘いとなると予想されるが、立証しだいでは十分に逆転の可能性がある。新法下の雇止め事例として要注目である。

参考

■労働契約法18条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

二  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること

■雇止め可否の判断要素
① 業務内容の恒常性・臨時性、正社員との同一性
   業務内容は恒常的なものか、臨時的なものか
   業務内容の正社員との同一性が認められるか
② 契約上の地位の基幹性・臨時性
   契約上の地位は、基幹労働者的か、嘱託・非常勤など臨時的か
   労働条件に通常の労働者と同一性が認められるか
③ 継続を期待させる言動・制度等の主観的態様
   正社員への登用制度など継続雇用を期待させる制度等の有無
   雇用継続を期待させる言動等の有無
④ 契約更新の状況、更新時における手続の厳格性
   反復更新の有無・回数・勤続年数
   更新手続の有無・時期・方法・更新可否の判断方法
⑤ 同様の地位にある労働者の雇止めの有無等

⑥ その他
   有期雇用契約を締結した経緯
   勤続年数・年齢等の上限の設定等

ただし、人員整理を行う場合、正社員との合理的な差異を設け、正社員に先立ち雇止めすることなども認められる(日立メディコ事件、最判昭61.12.4)。

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