TV番組海外転送、2社の上告を棄却 サービス停止、賠償を命じた判決確定
2013/02/15 知財・ライセンス, 著作権法, その他

概要
インターネットを通じて海外で日本のテレビ番組を視聴できるサービスを巡る2件の訴訟の差し戻し上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は13日付で、サービスしている2社の上告を棄却する決定を出した。サービス提供は著作権法違反に当たるとした上でサービス停止と損害賠償などを命じた知財高裁の差し戻し控訴審判決が確定した。
NHKと在京キー局などが、「まねきTV」の名称でサービスを提供した「永野商店」(東京都文京区)と、「ロクラク」の名称で展開した「日本デジタル家電」(浜松市)を訴えていた。
2件の訴訟は、最高裁が11年1月、サービスを「主体的に不特定の人に番組を送信している」として違法と判断。賠償額を確定するために審理を差し戻していた。差し戻し控訴審は永野商店に約165万円、日本デジタル家電に1570万円の賠償を命じていた。
参照条文
著作権法
(複製権)
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(複製権)
第98条 放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。
(損害の額の推定等) 第114条
(相当な損害額の認定) 第114条の5
関連判例
知的財産高等裁判所(差戻控訴審):平成23年(ネ)第10011号
ロクラク2事件差戻審判決
【事案の概要】放送事業者である原告ら(NHKと在京キー局など)が、被告(日本デジタル家電)が行うサービスは、原告らが著作権を有するテレビ番組に係る音又は映像の複製に当たり、原告らの著作権を侵害するとして、本件番組を複製の対象とすること等の差止めを求めた事案の差戻控訴審において、本件サービスにおける、複製の対象、方法等の諸要素を考慮すると、被告は、本件サービスにおいて、その支配、管理下において、テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器に入力していて、当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合におけるサービス提供者に該当し、被告が、本件放送番組等の複製の主体であると認定、判断すべきであるとし、被告の控訴を棄却し、原告らの附帯控訴に基づき第一審判決を変更した事例。
コメント
差し戻し前の高裁判決は、「利用者本人が録画している」などとして著作権侵害を認めなかったが、2011年の最高裁判決は「業者が管理する機器で番組を録画送信していれば著作権侵害に当たる」との判断を示し、同高裁に差し戻していた。結果として放送局側の言い分が認められた結果となった。放送局側としては、著作権を守られる結果となったが、ユーザー側に海外で日本のテレビ番組を見ることができなくなり、少し残念な結果かもしれない。
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