公正取引委員会が下請法に基づき株式会社サンゲツに勧告
2013/02/13 コンプライアンス, 下請法, その他

事案の概要
公正取引委員会は、2月12日、株式会社サンゲツ(以下、「サンゲツ」という)に対し、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)及び同条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反する事実が認められたとして、下請法第7条第2項及び同条第3項の規定に基づき、勧告を行った。
サンゲツが、インテリア製品の製造を委託している自身の下請事業者に対して行ったとされているのは、
1 製品をカタログに載せる「見本帳協力金」、自社の取引先に対する価格引下げを補う「単価協力」等として、下請代金から一定の金額を差し引いた。減額した金額は,下請事業者63名に対し総額5億5701万481円。
2 自社のショールームに展示するためのインテリア製品を、無償で提供させた。無償で提供させていた製品に係る相当額は,下請事業者38名に対し総額478万2722円。
なお、サンゲツは,下請事業者に対し,平成24年12月14日,減額した金額及び無償で提供させていたインテリア製品に係る下請代金相当額を支払っている。
勧告の内容は、①上記行為が違法である事及び今後そのような行為を行わない事を取締役会の決議により確認する事、②今後、上記のような行為を行うことがないよう、下請法の研修を行う等、社内体制の整備のために必要な措置を講じ、その内容を自社の役員及び従業員に周知徹底する事、等。
コメント
下請法は、独占禁止法を補助する特別法として定められたものであり、親事業者の下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を規制する事を目的としている。
以前は、下請法の運用については、大半が警告で処理され、勧告や罰金刑に処された事例は少なかった。しかし、近年、勧告に及ぶ事案が目立つようになった。平成20年のマツダ株式会社に対する勧告も記憶に新しい(下記関連サイト参照)。また、下請法は、平成15年の改正により、規制対象がシステム開発等の役務取引に拡大され、違反行為に対する措置の強化も行われた。規制対象の点では、昨年、株式会社ニッセンが通信販売会社として初めて勧告を受けている(下記関連サイト参照)。
このような動きの背景には、大手企業でも経営に危険が生じるようになってきた長引く不況があると思われる。しかし、例え苦境にあるとしても、コンプライアンスを重視してゆく事こそが、国内ひいては国際社会で信頼を勝ち取る一番の近道ではないだろうか。
参考条文
(親事業者の遵守事項)
第4条 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
三 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。
2 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号を除く。)に掲げる行為をすることによつて、下請事業者の利益を不当に害してはならない。
三 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
(勧告)
第7条
2 公正取引委員会は、親事業者が第4条第1項第3号から第6号までに掲げる行為をしたと認めるときは,その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払い、その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り、その下請代金の額を引き上げ,又はその購入させた物を引き取るべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。
3公正取引委員会は、親事業者について第4条第2項各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の利益を保護するため必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。
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