新日鉄住金、対ポスコ訴訟 管轄権が焦点
2012/11/22 訴訟対応, 民事訴訟法, メーカー

事案の概要
新日鉄住金(旧・新日本製鉄)が韓国鉄鋼大手ポスコを相手取り、高性能鋼板の技術を不正取得したとして東京地裁に訴えた裁判が異例の展開を見せている。ポスコが新日鉄住金の訴えは無効と韓国の地裁に提訴し、日韓で訴訟が競合する事態になったからだ。異なる判決が出た場合、どうなるのか。
ポスコは不正取得を争う前に、日本と韓国のどちらの裁判所が事件を裁く権限を有するかという「管轄権」の争いに持ち込むことが狙いとみられる。
管轄権は国際法に明確な規定はなく、国際訴訟では争点になりやすい。ポスコは、自国企業に有利な判決を期待できる自国の裁判所に持ち込むことで、裁判を有利に進めようという戦術だ。
今後、裁判が本格化するが、国際訴訟の難しさは、判決後にある。仮に韓国の裁判所がポスコの主張を認めた状況下で、日本で新日鉄住金勝訴判決が確定した場合、ポスコからどうやって賠償金を取るか問題となる。
日本の判決の効力を韓国に本社を置くポスコに及ばせるには、韓国の裁判所で「外国判決の承認」を受ける必要があるが、自国の結論と異なる判決は承認しないのが一般的である。
ただ、韓国で承認されなくても、日本国内で有効であることは変わりはない。その場合、日本国内のポスコの商取引債権等を差し押さえることになり、日本の取引先に迷惑を掛ける可能性もあるため、そうした事態を避けるため、日本の判決に従うのではないかとの見方もある。
なお、新日鉄住金の最大の狙いは、「法的制裁を勝ち取ることによって、再発を防止すること」(新日鉄住金幹部)のようだ。
コメント
管轄権が、どこになるかで裁判の進行でも違いが生じる。管轄がどこになるか、事前に契約で定める場合は、慎重な対応が必要であろう。
関連コンテンツ
新着情報

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...

- ニュース
- 福岡県警が工藤会トップに賠償逃れと指摘、信託とは2025.6.18
- NEW
- 特定指定暴力団「工藤会」(北九州市)のトップが北九州市に所有する土地23筆の所有権を親族に移し...

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分
- セミナー
茂木 翔 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第一東京弁護士会所属)
- 【オンライン】暗号資産ファンドの最前線:制度改正と実務対応
- 終了
- 2025/05/29
- 12:00~13:00

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード