テレビ西日本の派遣の違法性を巡る高裁判決、法律違反を一部認定
2012/10/31 労務法務, 労働者派遣法, その他

事案の概要
テレビ西日本(福岡市、TNC)への派遣が違法な雇用形態にあたるとして、子会社「TNCプロジェクト」の契約社員が、TNC正社員としての地位確認と4200万円の損害賠償を両社に求めた訴訟の控訴審判決が10月29日に下された。福岡高裁は、TNCの労働者派遣法違反を一部認定したが、原告の請求を退けた。
弁護団によると、原告の宮崎幸二さん(49)は、労働者派遣法施行令が派遣業務として認める「番組制作のための機器操作」従事のため、TNCに派遣されたが、主な業務は電波送信だった。訴状では「送信業務は施行令の派遣業務に該当せず、派遣・雇用契約は無効」などと主張。さらに「TNCの指揮命令下で働き、黙示の雇用契約があった」として、地位確認とともに正社員との差額賃金などを求めていた。しかし、福岡地裁は「子会社は独立して事業を営み、派遣労働者を管理しており、原告とTNCの間に雇用関係が黙示的に成立しているとは評価できない」との理由で、いずれの請求も棄却した。それを受けての控訴審だったが、今回も裁判所は、一審・福岡地裁判決を支持する形をとった。
控訴審判決はTNCについて、企業が3年を超えた派遣労働者がいる職場に新たな労働者を受け入れる場合、派遣労働者に直接雇用を申し入れる義務などを定めた労働者派遣法に違反していたと認定。だが、違反の程度や内容を鑑みると「原告の労働契約上の地位そのものに不利益を与えたとはいえない」とした。
コメント
企業の雇用の自由と労働者の権利保護との両立を図るのは、容易なことではない。今回の判決では、企業側の主張が受け入れられる結果となったが、企業は雇用形態に関して法令順守を徹底していくべきであり、今後そのような姿勢を求める声が高まると予想される。
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