海賊対策 新法整備に向け動き
2012/07/13 法務相談一般, 民法・商法, その他

概要
海上自衛隊の護衛艦が民間の船を囲んで守る現行の「護送船団」方式をとれない海域での被害を防ぐため、日本籍船に武装した海外の民間警備会社の警備員が乗船して警備するための新法整備に向け、内閣官房、防衛省、国土交通省、外務省などが調整を始めた。対象海域も拡げる方向で検討が進んでいる。早ければ秋の臨時国会への関連法案提出を目指す。
現在、国内法が適用される日本籍船に武装警備員が同乗することは銃刀法で禁止されている。そこで、政府は海賊対処法に基づいて海上自衛隊をソマリア沖に派遣し、護衛鑑やP3C哨戒機による民間船舶の護衛や監視活動を実施。アフリカ東部のジブチを拠点に、陸自や海自約180人を常駐させてこれを行っている。(いわゆる「護送船団」方式)。
しかし、イエメンなどでは領海内で外国の軍艦(日本の護衛艦)による警備を認めていないため、護衛が手薄になり、海賊行為の多発につながっている。2011年に世界で起きた海賊事件の件数は前年比で5年ぶりに減少したものの、海賊の活動範囲も広がっており、現行法では対象になっていないペルシャ湾のホルムズ海峡や、インド洋、ソマリア東南部などでも海賊行為が広がっている。
もっとも政府には商船への乗り込み警備に対応できるだけの自衛官を増派するのは難しいとの見方があり、欧米に拠点を持つ民間警備会社の活用を検討する。今後、警備会社が使用する武器の範囲や、武器使用の基準などを詰める。「自衛のための必要最小限の武器」として、小火器などに限る案が有力だ。
コメント
現状の「護送船団」方式が許されない地域にも対応できることや、これまでに想定されていない海域も対象とする予定であることから、海賊行為から民間船舶をよりしっかり警護できるのではないか。しかし、武器の範囲や、武器使用の基準などの詰めがこれから必要となってくる。それによってはこの護衛方法の実現や実効性が左右されるだろう。これからの新法整備に期待したい。
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