【法務NAVIまとめ】そのメルマガは大丈夫?!メルマガの法規制~特定電子メール法~
2016/08/03 コンプライアンス, 特定電子メール法, その他

はじめに
メルマガ(メールマガジン)を配信している事業者は数多く存在しますが,意外と忘れがちになっているのが「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」の存在です。メルマガを配信する際には,特定電子メール法の規制を守る必要があり,これに違反している場合には,罰則を受けるおそれもあります。そこで今回は,特定電子メール法上の事業者の義務と違反に対する罰則について,ご説明します。
規制対象となる「特定電子メール」(法第2条第2号等)
広告宣伝のために送信される電子メールが対象となります。
※SMSも対象となります。
※他人の営業のために送信されるものも対象となります。
※非営利団体や営業を営まない個人が送信する電子メールは対象外です。
※海外から送信され,日本で着信する広告宣伝メールも対象となります。
特定電子メールはどこまで?担当者が気になる15問のチェックシート-メールマーケティング特集⑼
特定電子メールの送信等に関するガイドライン(PDFファイル)(1~2頁参照)
「特定電子メール」を送る営利団体等の義務
1.オプトインの取得(同意を取得すること)
(1)原則(法第3条第1項第1号)
原則として,あらかじめ同意した者に対してのみ,広告宣伝メールを送信することができます。具体的には,①あらかじめ,広告宣伝メールの送信が行われることを認識してもらうこと,②それについて賛成の意思を表示してもらうことが必要となります。
特定電子メールの送信等に関するガイドライン(PDFファイル)(3~9頁,31~38頁(画面例1~7)参照)
(2)例外(法第3条第1項第2号~第4号)
以下の場合には,同意なしに広告宣伝メールを送信することができます。
①取引関係にある者に送信する場合
②名刺などの書面により自己の電子メールアドレスを通知した者に対して送信する場合
③自己の電子メールアドレスを通知した者に対して,以下の広告宣伝メールを送る場合
・同意の確認をするための電子メール
・契約や取引の履行に関する事項を通知する電子メールであって,付随的に広告宣伝が行われているもの
・フリーメールサービスを用いた電子メールであって,付随的に広告宣伝が行われているもの
④自己の電子メールアドレスをインターネットで公表している者(個人の場合は,営業を営む場合の個人に限る。)に送信する場合
【メルマガ担当者必読講座!メールに関する法律の基礎知識<第3回>】オプトイン・オプトアウトの違いとは?~「特定電子メール法」に抵触しないメルマガ運用のポイント(1)~
特定電子メールの送信等に関するガイドライン(PDFファイル)(14~19頁参照)
2.同意を証する記録の保存(法第3条第2項)
広告宣伝メールの送信に当たっては,受信者から送信することについて同意をとっている旨の記録を保存する必要があります。
メールマーケティングご担当者様は知っておきたい 迷惑メール規制二法(特定電子メール法,特定商取引法)対策チェック(3.同意を得た証拠を保存する。)
特定電子メールの送信等に関するガイドライン(PDFファイル)(10~13頁参照)
3.オプトアウト(受け取り拒否できること)の運用(法第3条第3項)
(1)原則
広告宣伝メールの送信について同意を得た場合であっても,受信者が受信拒否の通知を行った場合には,以後の送信が禁止されます。
(2)例外
以下の場合には,受信拒否の通知を受けた場合であっても送信できます。
①契約や取引の履行に関する事項を通知する電子メールにおいて,付随的に広告宣伝が行われる場合
②フリーメールサービスを用いた電子メールなどにおいて,付随的に広告宣伝が行われる場合
③その他,広告又は宣伝以外の行為を主たる目的として送信される電子メール(受信者の意思に反することなく送信されるものに限る)において,広告宣伝が付随的に行われる場合
メールマガジンにおける基本中の基本!オプトイン/オプトアウトとは?
特定電子メール法とSMSの関連性について
特定電子メールの送信等に関するガイドライン(PDFファイル)(20~23頁,39頁(画面例8)参照)
4.表示義務
(1)基本的な表示義務
広告宣伝メールの送信に当たっては,以下の表示が義務付けられています(法第4条)。
①特定電子メールの送信に責任のある者の氏名・名称(同条第1号)
②受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレスまたはURL(同条第2号)
(2)その他の表示事項
また,オプトアウトの例外の場合を除き,以下の表示が義務付けられています(同条第43号,施行規則第9条)
①オプトアウトの通知ができる旨の通知
②送信責任者の住所
③苦情や問合せ等を受け付けるための電話番号,電子メールアドレス又はURL
メルマガの特定電子メール法と表示義務について
特定電子メールの送信等に関するガイドライン(PDFファイル)(24~27頁参照)
主要な罰則
1.送信者情報を偽った送信をした場合
1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(34条1項)。法人の場合は行為者を罰するほか,法人に対して3000万円以下の罰金が課せられます(37条1項)。
2.架空電子メールアドレスあての送信をした場合
電子メールの送受信上の支障を防止するために必要があると総務大臣が認める時には総務大臣による命令が発せられます。そして,これに従わないときには1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。法人の場合は行為者を罰するほか,法人に対して3000万円以下の罰金に処せられます)。
3.受信拒否者への送信,表示義務違反,同意のない者への送信をした場合
総務大臣および内閣総理大臣による命令が発せられますが,これに従わないときには1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(7条,34条2項)。法人の場合は,行為者の他,法人に対して3000万円以下の罰金が課せられます(37条1項)。
4.同意の記録義務違反がある場合
総務大臣および内閣総理大臣の命令が発せられ,これに従わない場合は100万円以下の罰金に処せられることになります(7条,35条1項)。
法規制と罰則情報
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(PDFファイル)
おわりに
メルマガは安いコストで効果的な広告宣伝ができる重要なツールです。特定電子メール法の内容はそれほど複雑ではないので,よく理解して,適切かつ効果的にメルマガを活用していきましょう。一度自社のメルマガが法律に適合しているかを確認してみてください。
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