企業法務担当者なら読んでおきたいおすすめの本は?入門書から実務書まで21選
2023/08/07   

企業法務の関連の書籍は数多くあるため、結局「どの本を選べば良いだろう?」と書籍選びに時間を取られる方は多いのではないでしょうか。忙しい日々の中で、慣れない企業法務について理解するには、シチュエーションに合わせた本選びが大切です。この記事では、企業法務関連の書籍をジャンルに分けて、これから勉強する方におすすめの本を紹介します。

<目次>
  • 1. 法務入門:企業法務の仕事や役割についてのおすすめ本
  • 2. 法律入門:法律の基礎知識についてのおすすめの本
  • 3. 実務対応:個別の実務についてのおすすめ本
  • 4. 企業法務の資格取得に役立つ参考書
  • 5. 法務キャリアを次のステップへ

  • 法務入門:企業法務の仕事や役割についてのおすすめ本


    まずは、企業法務担当になった際に、最初に目を通しておきたいおすすめの書籍を紹介します。

    『スキルアップのための企業法務のセオリー 実務の基礎とルールを学ぶ 第2版』



    画像引用:第一法規

    企業法務とは何かを丁寧に解説してくれるおすすめ本です。企業法務の心構え、業務遂行のための技術習得、典型的なの法務案件を処理するためのルール、という三部構成で解説してくれます。

    ビジネス文書の鉄則や弁護士などを交えたミーティングでのあり方など、企業法務担当者のリアルな仕事ぶりを垣間見ることができる法務部1年目におすすめの1冊です。

    著者 瀧川 英雄
    出版社 第一法規
    発行年月 2022年08月
    価格 2,860円(税込)
     

    『今日から法務パーソン』



    画像引用:Amazon

    タイトルの通り、法務部配属が決まった担当者向けの入門書です。法務パーソンとしての心構えや行動のヒントなど、会社組織で法務部として活躍するために必要なスキルが解説されています。

    実践的なテクニックから法務担当者としてのキャリアに至るまで、企業法務担当者の悩みを解決するヒントが幅広く記載されているため、法務部1年目だけでなくベテランの法務パーソンにもおすすめしたい1冊です。

    著者 藤井豊久 ・守田達也 ・ 企業法務向上委員会
    出版社 商事法務
    発行年月 2021年03月
    価格 1,980円(税込)
     

    『企業法務のための初動対応の実務』




    ある程度、企業法務の役割を把握してから読むと、より業務内容がイメージしやすくなるおすすめの入門書です。

    法的対応を迫られることが多いトラブルを7つの分野(コンプライアンス、契約管理、債権管理、情報管理、労務管理、会社整理、M&A)に別けて紹介。各分野、3つの特徴・相談事例・7つのポイント・参考書式の順で初心者にも分かりやすく解説されています。

    著者 長瀨 佑志 ・ 長瀨 威志 ・ 母壁 明日香
    出版社 日本能率協会マネジメントセンター
    発行年月 2019年12月
    価格 3,520円(税込)
     


    法律入門:法律の基礎知識についてのおすすめの本


    企業法務の全体像がつかめたら、実際に業務で使用する基礎知識を習得していきましょう。例えば最初に経験することが多い契約書審査では、難解な契約書や法律を読み込む作業が発生します。それに対応するためには、法律の読み方や基本的な法律の内容について、はじめにきちんと会得しておくことが肝心です。

    そこで、法律文書の読み方や、各法律の入門書のおすすめ本をご紹介します。

    『条文の読み方 第2版』



    画像引用:Amazon

    基礎的な法令用語の解読方法を解説した本です。「科する」「妨げない」「特別の定め」「みなす」「推定する」など、基本的な法制執務用語や法律全体・条文の構造といった法律文書の読み方に関する基礎知識が記載されています。

    法学部出身なら読んだことがある人も多いのではないでしょうか。それくらい有名で分かりやすさに定評のある法律文書の読み方本です。用語の意味や使い方が事例形式で説明されるため、初めの一冊としても、実務で迷ったときの辞書としてもおすすめの1冊です。

    著者 法制執務・法令用語研究会
    出版社 有斐閣
    発行年月 2021年03月
    価格 990円(税込)
     

    『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』



    画像引用:Amazon

    法律の読み方や学び方を事例やユーモアを交えながら分かりやすく説明してくれる法律の学び方の入門書です。法律案を作成する側だった著者から法律の読み方を学ぶことができる貴重な書籍といえるでしょう。

    図解やイラストも豊富なため読み進めやすく、これから法律を仕事にする初学者におすすめの良書です。

    著者 吉田利宏
    出版社 ダイヤモンド社
    発行年月 2022年04月
    価格 1,980円(税込)
     

    『先生!バナナはおやつに含まれますか?
    ―法や契約書の読み方がわかるようになる本―』



    画像引用:第一法規

    「バナナはおやつに入るのか?」。キャッチーなタイトルながら、本格的な法解釈の入門書となっています。そもそも”おやつ”とは何か(文理解釈)、”おやつ”を制限する目的は何か(目的論的解釈)など、背景にある事情からルールの内容を明確化していく法解釈のエッセンスが詰まっています。

    事例が豊富で分かりやすく、それでいて弁護士が執筆しているため内容も正確です。契約書審査など文章の精査業務が多い法務部1年目におすすめの1冊です。

    著者 中野 友貴
    出版社 第一法規
    発行年月 2018年08月
    価格 1,760円(税込)
     

    『ビジネスパーソンのための契約の教科書』



    画像引用:Amazon

    契約書の重要性を筆者の経験をもとに学ぶことができる1冊。教科書というタイトルとは裏腹にざっくばらんな語り口で初心者でもさくさく読めてしまうでしょう。

    「1枚の契約書によって、ウルトラマンシリーズ第6作を海外で使用する権利を失ってしまった円谷プロの訴訟」など、リアリティ溢れる事例をもとに契約書審査の重要性や心構えを学ぶことができます。

    著者 福井 健策
    出版社 文藝春秋
    発行年月 2011年11月
    価格 825円(税込)
     

    『民法(全)〔第3版〕』



    画像引用:有斐閣

    民法は企業が行う取引の基礎的なルールがまとめられているため、法務部員としては避けては通れない法律の一つです。その民法を1冊で網羅的に解説してくれる定番の入門書です。

    民法の全体像をつかんでさらに詳細な書籍に当たるまでの橋渡しとしておすすめの1冊です。

    著者 潮見 佳男
    出版社 有斐閣
    発行年月 2022年03月
    価格 5,060円(税込)
     

     『手にとるようにわかる会社法入門』



    画像引用:Amazon

    民法と並んで避けては通ることができない会社法の入門書です。初めて触れる人でも理解できるように、噛み砕いた表現で解説されています。

    初登場の言葉には、その都度定義や意味の解説があり、図版も豊富に取り入れられているため、会社法のイメージがつかみやすく最初の1冊におすすめです。

    著者 川井 信之
    出版社 かんき出版
    発行年月 2021年02月
    価格 1,760円(税込)
     


    実務対応:個別の実務についてのおすすめ本


    実務をこなしていく中では、上司や弁護士に確認する前に、自分で個々の知識を把握しておかなければならない場面も少なくありません。

    そこで企業法務の代表的な分野についてのおすすめ本をまとめました。

    『契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版』



    画像引用:Amazon

    契約審査についての実務解説書です。秘密保持契約、売買契約、代理店契約、業務委託契約といった実務で使用頻度の高い契約書の条項例とその解説が記載されています。

    契約書の条項ごとに、関連する法律の条文が示されるため、法律と異なる条項の存在やその条項が自社にもたらすメリット・デメリットに気づくことができるようになるでしょう。

    編集 阿部・井窪・片山法律事務所
    出版社 有斐閣
    発行年月 2019年09月
    価格 5,170円(税込)
     

    『事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック 第2版』



    画像引用:Amazon

    ビジネスに潜む法的リスクをシーン別にまとめた逆引き方式の法務ハンドブックです。事業を進めるにあたり、どこにどのような法的リスクが潜んでいるのかを具体的に紹介しています。

    民法・会社法・独占禁止法・個人情報保護法など重要法令が掲載されていて、企業法務の代表的な分野について網羅的に記載されている便利な1冊です。

    著者 塩野 誠 ・ 宮下 和昌
    出版社 東洋経済新報社
    発行年月 2021年06月
    価格 4,620円(税込)
     

    『労働法 第9版』



    画像引用:有斐閣

    企業にとって切っても切り離せないのが労務問題です。問題の発生頻度とリスクが大きいため、特に法務担当者によるリスク管理が期待される業務の一つです。本書は初学者から実務家まで幅広く読まれている本格的な労働法の解説書で、裁判例などの具定例をあげながら、労働法のイロハを解説します。

    文章ベースの書籍でありながら分かりやすさに定評のある本です。辞書的に使える本をお探しの場合は、『労働法 第12版』菅野和夫もよいでしょう。

    著者 水町 勇一郎
    出版社 有斐閣
    発行年月 2022年03月
    価格 3,520円(税込)
     

    『独禁法務の実践知〔LAWYERS' KNOWLEDGE〕』



    画像引用:有斐閣

    こちらも企業法務においてコンプライアンスチェックが期待される独禁法に関する実務解説書です。企業法務で有名な事務所に所属する弁護士が、どのようにすれば独禁法違反にならないのかといった判断方法を指南してくれます。

    公正取引委員会への対応など、法律論にとどまらない事務に寄り添ったおすすめの1冊です。

    著者 長澤 哲也
    出版社 有斐閣
    発行年月 2020年06月
    価格 4,180円(税込)
     

    『下請法の法律相談』



    画像引用:青林書院

    下請法の適用となる契約や違反行為類型などを解説する法務担当者向けの下請法解説書です。多数の弁護士によって執筆されているのに加え、元公取委審査官が編者として本書に関わっているため、内容の正確さに信頼感があります。

    下請法実務に臨む際に読んでおきたいおすすめ本です。

    編・著者 内田 清人 他
    出版社 青林書院
    発行年月 2022年02月
    価格 6,930円(税込)
     

    『株主総会ハンドブック(第5版)』



    画像引用:Amazon

    株主総会の準備段階から事後手続きまでを時系列で解説する実務家定番の解説書。

    バーチャル株主総会や株主総会資料の電子提供等、デジタル化が進む今日の株主総会のトレンドにも対応しており、内容の充実度は随一といえるでしょう。オフィスに1冊おいておきたい良書です。

    編・著者 中村 直人
    出版社 商事法務
    発行年月 2023年03月
    価格 9,350円(税込)
     

    『個人情報保護法制大全』



    画像引用:Amazon

    個人情報保護・データ保護分野の法制度が体系的にまとめられた書籍で、個人情報保護法制に関しての辞書として手元にあると安心の1冊です。GDPR、CCPRなど世界各国の法制度のうち、日本企業に関係するポイントもまとめられています。

    データ保護に関しては、法改正のスピードが速いため本書での理解にとどまらず、必ず現行法令を確認する必要がありますが、何が問題になりやすくどの法律を調べるとよいかのあたりをつけるには便利な1冊といえるでしょう。

    著者 太田 洋 ・ 石川 智也 ・ 河合 優子
    出版社 商事法務
    発行年月 2020年09月
    価格 10,450円(税込)
     

    『M&Aの契約実務 第2版』



    画像引用:Amazon

    株式取得による会社買収や事業譲渡、組織再編といったM&A取引の典型的な契約を網羅的に解説しています。時系列で必要な手続きを解説しているため、M&A取引の流れを理解しやすくおすすめです。

    アウトバウンド取引特有の外国法や海外取引実務等にも言及があり、実務の進化にも柔軟に対応したおすすめ本です。

    著者 大久保圭 ・ 大久保涼 ・ 宿利有紀子 ・ 笠原康弘 ・ 粟谷翔 ・ 藤原総一郎 (編著)
    出版社 中央経済社
    発行年月 2018年09月
    価格 4,150円(税込)
     


    企業法務の資格取得に役立つ参考書


    特別な資格がなくても企業法務担当者としてできることはたくさんあります。ただし、合格のために勉強することによって実務に活かせる知識が身に付き、より市場価値の高い経験を積めるようになるなど、多くのメリットがあります。

    資格取得に役立つ書籍で、企業法務のスペシャリストになる一歩を踏み出しましょう。

    『ビジネス実務法務検定試験 3級 公式テキスト』



    画像引用:Amazon

    ビジネス実務法務検定試験の公式テキストです。実務レベルの法的知識の習得を目的とした資格で、資格勉強をしながら、実務で必要な基礎知識が網羅的に習得できます。

    3級の合格率は8割程度のため比較的取得しやすいとされています。企業法務として自信を付けるためにも是非チャレンジしたい資格です。転職等で評価の対象となるのは2級からの場合が多いため、3級合格後もステップアップを目指しましょう。

    著者 東京商工会議所 (編集)
    出版社 中央経済社
    発行年月 2023年1月
    価格 3,080円(税込)
     

    『初級 ビジネスコンプライアンス 第3版-「社会的要請への適応」から事例理解まで』



    画像引用:Amazon

    ビジネスコンプライアンス検定の初級試験で出題される内容が幅広く記載されています。コンプライアンス業務で必要とされる基礎知識が自然と身につく内容です。

    近年、企業が不祥事もしくは不正により社会的信用を欠落するケースが多く、コンプライアンスの強化が進んでいます。企業法務担当者として、コンプライアンスに関する学習意欲を証明することができれば今後のキャリアにとってもプラスとなるでしょう。

    著者 元榮 太一郎・郷原 信郎 他
    出版社 東洋経済新報社
    発行年月 2022年06月
    価格 3,080円(税込)
     

    『改訂7版 個人情報保護士認定試験公式テキスト』



    画像引用:Amazon

    個人情報保護士認定試験の出題範囲全を網羅的に解説し、各章末に過去問題が掲載されています。個人情報保護法やマイナンバー法など関連法規のこと細かな解説と、実務で役立つ具体的な運用事例も記載されています。

    個人情報の管理方法や正しい運用はITの進化と普及が目覚ましい昨今において、必須の知識となっているため把握しておきたい知識です。

    著者 柴原 健次 ・ 坂東 利国 ・ 克元 亮 ・ 井海 宏通  他
    出版社 日本能率協会マネジメントセンター
    発行年月 2022年03月
    価格 2,750円(税込)
     

    『知的財産管理技能検定3級厳選過去問題集(2023年度版)』



    画像引用:Amazon

    知的財産管理技能検定試験と同じ形式の学科30問・実技30問の実力テストが掲載されています。問題全てに詳細な解説が付いていて、問題を解きながら着実に実力を付けられます。

    知的財産管理技能士は、企業の知的財産をより適した形で管理・運用できることを証明する国家資格です。企業法務において評価対象となるのは2級以上が多いですが、成長過程という意識で3級合格を目指しましょう。

    著者 アップロード知財教育総合研究所 (編集)
    出版社 アップロード
    発行年月 2022年06月
    価格 2,200円(税込)
     


    法務キャリアを次のステップへ


    企業法務担当者におすすめの本はいかがだったでしょうか。もしかしたら既にお手元にある本もあったかもしれません。

    企業法務について、昨今は分かりやすくて実務に活かしやすい書籍がたくさんあります。ぜひ本記事を参考に企業法務で役に立つ本を選んでみてください。
    ※本記事掲載の情報は2023年08月07日現在時点のものです。

     

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