QAで学ぶ契約書作成・審査の基礎第22回 取引基本契約(知的財産権侵害の責任)
2022/04/15   契約法務, 知財・ライセンス, 民法・商法

 

本シリーズでは第18回から取引基本契約について解説していますが(本シリーズ一覧はこちら), 今回は, 売買目的物が第三者の知的財産権を侵害している場合の売主の責任に関する規定を解説します。

【目 次】


(各箇所をクリックすると該当箇所にジャンプします)


Q1: 裁判で争われた規定例は?


Q2: 売主の立場で作成された規定例は?


Q3: 知的財産権侵害の責任条項がない場合どうなるか?


 
 

Q1: 裁判で争われた規定例は?


A1:以下に実際に裁判(知財高裁平成27年12月24日判決)で争われた規定例(一部修正)を示します。
 

第18条


1.売主は,売主の納入する物品が第三者の特許権を侵害しないことを保証する。


2.売主は,前項の物品に関して第三者との間で特許権侵害を理由とする紛争が生じた場合,売主の費用と責任でこれを解決し,又は買主に協力し,買主に一切迷惑をかけないものとし,買主に損害が生じた場合には,買主に対してその損害を賠償する。


【解 説】


以下に, 上記規定の分析・評価に必要な範囲で本訴訟の概要を記します。

1.事案の概要

売主(商社)は, 買主(通信事業者)との間の売買基本契約(上記18条の規定あり)に基づき, 通信機器用部品(以下「本製品」)をそのメーカーから購入し買主に納入。その後買主に対し第三者から本製品がその者の特許権を侵害する旨の主張およびライセンスのオファーあり。買主はオファーに応じ自らライセンス料2億円支払い

その後, 売主から買主に本製品の代金支払いを求め提訴。これに対し, 買主は, ①本製品は上記第三者の特許権を侵害すること, 従って②売主は基本契約18条1項に違反したこと, ③買主は売主の基本契約18条2項違反によりライセンス料2億円を支払わざるを得なかったこと, 従って④買主は売主による債務不履行によりライセンス料2億円相当額の損害を蒙ったことを主張し, ⑤買主の当該損害の賠償債権と売主の代金債権の相殺を主張

第1審は, 上記いずれについても買主の主張を否定し売主勝訴。売主はこれを不服として知財高裁に控訴した。

2.裁判所(知財高裁)の判断要旨

①侵害の成否について買主は侵害成立の根拠を十分に主張立証していないので, 侵害成立は認められない

②売主の18条1項違反①より違反不成立

③売主の18条2項違反:18条2項の文言のみから, 買主の主張する, 「売主は, 侵害が成立しないことを明確にし, また, 当該第三者から特許権の実施許諾を得るなどして買主が当該第三者から差止・損害賠償請求を受けることを回避する義務」が発生するものと認めることはできない

同項は,侵害が問題となった場合の売主がとるべき包括的な義務を規定したものであり, 同項により売主が負う具体的な義務の内容は, 当該第三者による侵害の主張の態様やその内容, 売主・買主間の協議などの具体的事情により定まる。

本件の場合, 買主は売主に侵害成否の回答を求めていたこと, 買主・売主・ベンダー間でライセンス料,その算定根拠などの検討が必要であることを確認しベンダーが必要な情報を提示する旨回答していたことなどの事情から, 売主は,18条2項に基づく具体的な義務として,(i)侵害成否についての見解およびその裏付け資料を提示し,また,(ii)買主がライセンス契約を締結する場合に備え合理的なライセンス料算定に必要な資料などを収集,提供する義務を負っていた売主はこの資料提示・提供義務には違反した。

④売主による18条2項違反と買主のライセンス料2億円相当額の損害の因果関係:侵害成立は認められないので, 結果的に見れば, 買主によるライセンス料支払いは不要だった。しかし, 買主が, ベンダーの対応などから侵害の可能性が高いと考えたこと, 売主・ベンダーからライセンス料算定情報が提供されないこと, 状況が切迫していたことなどから, 買主がライセンス料2億円を支払ったことはやむを得ない。従って, 売主による18条2項違反と買主のライセンス料2億円相当額の損害の間には相当因果関係がある

⑤買主の損害賠償債権と売主の代金債権の相殺:買主は,直ちに差止請求される危険性があるとはいえず, また, 第三者から侵害成立の客観的資料も示されていない状況で, 自ら客観的資料に基づき侵害成否を検討することなく,算定根拠不明なライセンス料提示に対しその内容を質すこともなく,また, 売主による制止を顧慮することなく,ライセンス料2億円を支払った。この点は拙速との評価を免れず,買主にも損害発生について過失があり, その過失割合は,買主が7割, 売主が3割である。従って, 売主による相殺は2億円の3割である6,000万円の限度でのみ有効である。

3.基本契約18条2項の文言に関する考察

18条2項は, 侵害紛争が生じた場合, 「売主の費用と責任でこれを解決し,または買主に協力し,買主に一切迷惑をかけないものとし,買主に損害が生じた場合には,買主に対してその損害を賠償する」として, 非常に包括的に売主の責任を定めており, しかも, (i)売主が主体となってその費用と責任で紛争解決する場合と(ii)買主がその主体となり売主に協力させる場合の両方をカバーし, 買主側の立場からすれば, 一見して非常に有利で問題がないように見えます

しかし, 本判決によれば, 同項から, 買主の主張する, 売主の「当該第三者から特許権の実施許諾を得るなどして買主が当該第三者から差止・損害賠償請求を受けることを回避する義務」が生ずることは否定しています。これは, 実際の対応が買主が主体となって行われていた事情の下では(i)ではなく(ii)が該当し, この売主が主体となる義務は(i)の場合の義務であって本件の事情の下では当てはまらないと判断されたと思われます。

従って, 買主として, 確実に売主にそのような義務まで負わせたいのであれば, 18条2項のような抽象的文言では不十分で, 以下のような文言にする必要があったと思われます。

(a)上記(i)の売主が主体となってその費用と責任で紛争解決する場合と(ii)買主がその主体となり売主に協力させる場合についてそれぞれの内容をより具体的・明確に規定する。

(b)上記(i)と(ii)のいずれにより対応するかについては, 買主が随時選択・決定できることを明記する。

しかしそのようにしたとしても, (ii)の場合において, 買主がその単独の判断で第三者にライセンス料などを支払った後に売主に求償するときは, 本訴訟と同様, その支払の判断の是非・額などを売主から争われる可能性があると思われます。

なお, (i)の場合の具体的規定についてはQ2の規定例が, (ii)の場合の具体的規定については脚注[1]で示す規定例が参考になるでしょう。

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Q2: 売主の立場で作成された規定例は?


A2:以下に示します(「甲」=買主, 「乙」=売主)。
 

(規定例:どちらかと言えば売主の立場からの規定)


第8条  知的財産権の侵害に対する責任


1.本製品または本製品の製造方法が第三者の日本国内における特許権, 実用新案権, 意匠権, 商標権, 著作権, 営業秘密に関する権利その他知的財産権(以下総称して「知的財産権」という)を侵害するとして, 第三者が甲に対し使用差止, 損害賠償などの請求(訴訟を含む。以下「侵害請求」という)をした場合には, 乙は, その費用負担で侵害請求に対して防御し, また, 当該第三者に対し最終的に認められた損害賠償金または和解金額を支払うものとする。但し, この防御および支払は, 甲が遅滞なく乙に侵害請求につき通知すること, 甲が必要かつ合理的範囲内の情報と援助を乙に提供すること, および, 甲が当該防御および和解について実質的な参加の機会および全ての実質的決定権限を乙に与えることを条件とする。


2.乙は, 侵害請求に関し必要と判断した場合には, 乙の費用負担で, 甲のために, 本製品の継続使用権を確保するか, または, 侵害回避のため本製品を交換もしくは修正するものとする。但し, これらの措置が合理的に見てとり得ない場合, 乙は, 本製品と交換に, 本製品の価格から減価償却費相当額を差し引いた金額を甲に償還するものとする。


3.乙は, 以下のいずれかに起因する侵害請求については何らの責任も負わないものとする。


(1)本製品と他の製品との組み合せ(但し, 乙が本製品とともに供給した他の製品との組み合わせ, および, 乙が行った他の製品との組み合わせを除く)


(2)本製品に関し甲が乙に指定した仕様または指示


(3)その他乙の責めに帰すことができない事由


4.本条は, 本製品に関する第三者の知的財産権侵害(そのおそれを含む)に関する乙の責任の全てを定めたものとし, 当該責任については本条のみが適用される。


【解 説】(どちらかと言えば売主の立場からの解説)


(第1項)「本製品または本製品の製造方法が」:第三者が本製品自体ではなく本製品の製造方法(物の生産方法)について特許権を有している場合, その特許権の効力はその製造方法により生産した物(本製品)の使用, 譲渡などにも及びます(特許法2(3)三号, 68)。そこで, 本項では, 単に「本製品が」ではなく「本製品または本製品の製造方法が」とし, 本条が第三者の物の生産方法特許の侵害にも適用されることを明確にしています

「日本国内における」: 特許権, 商標権などは各国ごとに独立して成立します(パリ条約第4条の2, 第6条)。従って, 売主(乙)が日本国内における非侵害を調査の上確認したとしても, 本製品が外国に輸出され使用された場合には, その外国における第三者の特許権などを侵害してしまうということはあり得ます売主としては, 日本国内で使用されるという前提で本製品を販売しているので日本国内での非侵害については責任を負うが, 仮に, 買主(甲)が本製品を外国に輸出するのであれば, 買主が自らの責任・費用でその外国での非侵害を予め調査・確認しておくべきだという考えです。そこで, 本規定例では, 「日本国内における」特許権などに限定しています。

但し, 売主自身が本製品を積極的に外国に輸出しており, その外国での非侵害を予め調査・確認済みであれば, 買主から要求された場合には, その外国も本規定の対象に追加することは検討可能でしょう。

なお, 「日本国内における」との限定がなく, 単に「第三者の特許権...」などと規定した場合には, それが日本国内の権利に限定されているのか否かが争われる可能性があります。

なお, いずれの国でも, 著作権については他人の著作物との類似性と依拠性がない限り, また, 営業秘密(トレードシークレット)に関する権利については他人の営業秘密の不正取得などがない限り, 侵害は生じません。従って, これらの権利については, 買主が売主に世界中での責任を要求しても不合理ではないと思われます(但し, 売主が, 外国での販売を想定していないことや, 外国で防御する労力・費用などを理由に拒絶する可能性はあります)。

「乙は, その費用負担で当該請求に対して防御し, また, 当該第三者に対し最終的に認められた損害賠償金を支払うものとする」これは, 第三者からの侵害請求に対し, 売主が実質的に主体となりその費用(技術的調査・解析・侵害成否判定費用, 弁護士費用, 訴訟費用など)を負担し防御活動(非侵害の立証主張)を行い, かつ, 仮に, 最終的に敗訴判決が確定した場合または第三者と和解解決した場合にはその判決で確定した損害賠償金額または和解金額を乙が負担するという意味です。

このように売主が自ら進んで防御・対応の主体となる理由は, 一般的には買主よりも売主(場合により開発・製造者)の方が本製品の技術的内容を理解しており, 従って, より的確に防御・対応できること, 買主が不適切な判断に基づき第三者に不要な支払いをしその額を売主に求償・転嫁することを防止すること, 製品が買主でなく多数の者に販売されている場合には個々の買主ごとの意向に従いながら第三者に適切に防御・対応することはできないことなどです。

なお, 売主は第三者が既に買主に対し訴訟提起していれば, 民事訴訟法上, 「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」として, 当事者の一方(買主)を補助するため, その訴訟に参加し(42), 当該訴訟について, 攻撃または防御の方法の提出などの訴訟行為をすることができます(45)。また, 買主は, 同法53条により売主に訴訟告知して参加を促すことができます(不参加でも参加したとみなされ敗訴判決の効力が一定範囲で及ぶ:53(4))。但し, 訴訟提起前の第三者との交渉段階ではこのような制度がないので, 売主には「実質的な」参加の機会などが必要です。

(売主の負担金額に限度を設定することの是非) 時として売主が負担すべき防御・対応費用および損害賠償・和解金額に限度額を設けている条項を見ることがあります。しかし, これでは, 売主側が訴訟対応の全権を持ちながら, 敗訴した結果である損害賠償金の限度額超過分を, 訴訟対応に権限のなかった買主側に負担させることになり, その法的有効性に疑問があります。一般的には, 上記規定例のように売主が全額負担とし, 契約違反全般の損害賠償に関する「責任制限条項」の責任限度額の対象からも除外します。

(防御および支払の前提条件:買主の通知・協力・全権付与義務)上記規定例では, 売主の防御および支払義務が, ①買主が遅滞なく売主に侵害請求につき通知すること, ②買主が必要かつ合理的範囲内の情報と援助を売主に提供すること, および, ③買主が当該防御および和解について実質的な参加の機会および全ての実質的決定権限を売主に与えることを条件としています。売主としては, これらが一つでも欠ければ, 適切な防御・和解を行うことができず, また, これらが欠けているにもかかわらず, その結果としての損害賠償金・和解金を負担させられることは不合理だからです。

これに対し, 買主側から, (i)買主が防御・解決の全権を持つこと(もしくは防御・解決の内容・方法の決定に買主の同意を要すること), または, (ii)防御・解決の内容・方法の決定に買主の見解を考慮することを要求する場合がありますこれに対し, 売主としては, (i)については, 上記の理由から拒否, (ii)については考慮の余地がある(但し最終決定権は売主にあること)ということになるでしょう。

但し, 売主よりも買主の方が知的財産権の侵害事件への対応能力がある場合(例:売主が知財部門もない小企業, 買主が強力な知財部門を有する大企業の場合や, 買主が売主に技術仕様を指示して製品を製造させた場合)は, (i)を受入れてもいいでしょう。

(第2項)本項は, 売主が侵害請求への対応過程で侵害の可能性が高いと判断した場合, 売主の費用負担で, 第三者から本製品の継続使用権(ライセンス)を確保し, または, 本製品を侵害のないものと交換しもしくは侵害が解消するよう修正改変できるようにするための規定です。但し, これらの措置が, 第三者がライセンスに応じない, 侵害を回避しようとすれば製品の効用が大幅に損なわれるなど, 合理的に見てとり得ない場合は, 本製品と交換に, 本製品の価格から減価償却費相当額を差し引いた金額を買主に返金するものとしています。原価償却費の控除は, 買主はその時点まで原価償却費に相当する製品の使用利益を得ていた筈なのでその額は控除すべきだという考えに基づきます。

これに対し, 買主から, (i)継続使用権の取得のみに限定することを求められる場合があります。売主としては, ライセンスを取得できないかまたはその取得費用が不合理に高額となる可能性があることを理由にこれを拒否することになるでしょう。

「原価償却費の控除」については, 買主側からは, 減価償却の期間・方法(定額法・定率法)の明記, 代金全額の返還の要求が考えられます。これらについては, 売主としても検討の余地があるでしょう。

(第3項)本項(1):本製品と他の製品の組合わせに関し, その組合わせ自体に特許性があるため, 第三者が特許を有している場合を想定し, その場合には, 本製品自体は問題はないので, 売主の責任はないことを規定しています。但し, 売主が本製品とともに供給した他の製品との組み合わせ, または, 売主が本製品と他の製品を組み合わせた場合を除きます。

本項(2):侵害請求が売主の標準製品ではなく買主の指定した仕様による特注品の場合などに関する規定です。

本項(3)「その他乙の責めに帰すことができない事由」としては, 買主による(i)マニュアルに反する使用方法, (ii)売主が承認していない改変, (iii)売主が既に侵害に気づいて非侵害となるよう修正改変した製品(ソフトウェアを含む)との交換・バージョンアップの未実施などが考えられます。これらを具体的に列挙しても構いません。

(第4項):本項は次の二つのことを意図しています。

(a)売主が本条に定める義務を履行する限り, 買主に他の損害が生じたとしても, また, 他の請求原因に基づく請求(例:不法行為に基づく損害賠償請求)に関しては, 売主は責任を負わないこと。

(b)知的財産権の侵害に関する売主の責任については, Q3で解説する民商法または本契約上の製品保証その他品質不適合責任に関する規定や「責任制限条項」の適用はなく, 本規定のみが適用されること。

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Q3: 知的財産権侵害の責任条項がない場合どうなるか?


A1: 民法または商法の契約不適合責任が適用され, 履行の追完(侵害のない目的物の引渡しなど)の請求, 代金の減額の請求, 損害賠償の請求および契約の解除をすることができると思われます。但し, 売買契約中に製品保証その他品質の「契約」や「仕様」不適合に関する規定がある場合, 当該規定に定める条件が適用されるものと思われます。

【解 説】[2]


民法上, 売買は目的物の所有権(「法令の制限内において, 自由にその所有物の使用, 収益及び処分をする権利」(206条)などの財産権を代金と引き換えに移転することを内容とする契約(555条)ですが, 目的物が第三者の知的財産権を侵害している場合, 買主は所有権の内容である目的物の使用・収益・処分(販売)ができません。このような目的物は, 物理的な品質不適合がないとしても, 売買という「契約の内容に適合しないもの」であり, 売主は民法上の売買目的物の契約不適合責任を負うものと解されます。なお, この契約不適合責任は, 最判昭和41年4月14日から, 民法565条の「権利」の契約不適合責任ではなく民法562条の「物」の契約不適合責任に該当すると解されます。

従って, この場合, 民法に従い, 買主は, その不適合を知った時から1年内にその旨を売主に通知したことを条件として, 履行の追完の請求(侵害のない目的物の引渡しなど), 代金の減額の請求, 損害賠償の請求および契約の解除をすることができることになります(民法566条, 562-564条)。

しかしながら, 売買が企業など商人間で行われる場合は, 商法526条が適用され, 買主は, 不適合を直ちに発見することができない場合(第三者知財侵害については通常そうであろう)目的物受領後6か月以内に不適合を発見した場合に限り履行の追完の請求などをすることができると解されます。そして, 売買目的物が第三者の知的財産権を侵害している場合の処理が問題になるのは, 通常, 商人間の売買においてであると考えられる(何故なら, 権利者が個々の個人の消費者に侵害責任を追及することは考えれないから)ので, 実際には多くの場合, 民法ではなく商法の規定が適用されると思われます。

しかし, 売買契約中に製品保証その他品質の「契約」や「仕様」不適合に関する規定がある場合(通常あると思われる), その「不適合」には第三者の知的財産権侵害による使用・販売不能が, その旨明記されていなくても当然含まれていると解釈されると思われます。この場合, 期間的条件(例:目的物の検収から1年以内に売主に通知), 履行の追完(侵害のない目的物の引渡しなど)の請求その他買主の権利内容を含め当該規定に定める条件が適用されることになります。

民商法または製品保証その他品質不適合責任に関する規定に委ねることの問題点】しかし, 本責任に関し, 民法・商法の規定や品質不適合責任に関する規定に委ねてしまうことには, 以下のような問題があるので, やはり, 別途, 知的財産権侵害に関する規定を設けるべきです。

①第三者から侵害の主張がされる時期が目的物の検収から1年以内とは限らないから, 買主としては期間的条件を削除すべきである。

②売主の防御などの責任は民商法などの規定ではカバーされない。売主としても, 防御および第三者への賠償金・和解金負担の条件を定める必要がある。

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今回はここまでです。

「QAで学ぶ契約書作成・審査の基礎」シリーズ:過去の回


 

[3] 

【注】                                   

[1] JEITA「ソフトウェア開発モデル契約の解説【2020 年4 月1 日施行 改正民法対応版】」(2019 年3 月)のp.110-112に(ii)の買主が紛争解決の主体となり売主に協力させる場合の規定例(【B案】)とその解説がある。

[2] 飯島歩「改正民法と非侵害保証・特許補償条項」知財管理 Vol. 70 No. 8 2020,  p. 1192-1193を参考とした。

[3]

 

【免責条項】


本コラムは筆者の経験にもとづく私見を含むものです。本コラムに関連し発生し得る一切の損害などについて当社および筆者は責任を負いません。実際の業務においては,自己責任の下,必要に応じ適宜弁護士のアドバイスを仰ぐなどしてご対応ください。

 

 

【筆者プロフィール】


浅井 敏雄  (あさい としお)


企業法務関連の研究を行うUniLaw企業法務研究所代表/一般社団法人GBL研究所理事


1978年東北大学法学部卒業。1978年から2017年8月まで企業法務に従事。法務・知的財産部門の責任者を日本・米系・仏系の三社で歴任。1998年弁理士試験合格 (現在は非登録)。2003年Temple University Law School  (東京校) Certificate of American Law Study取得。GBL研究所理事, 国際商事研究学会会員, 国際取引法学会会員, IAPP  (International Association of Privacy Professionals) 会員, CIPP/E  (Certified Information Privacy Professional/Europe)

【発表論文・書籍一覧】


https://www.theunilaw2.com/


 

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