株式の相続における注意まとめ
2018/08/16 総会対応, 会社法

1.はじめに
株式会社における株主が亡くなった場合、株式の相続には、どのような手続を経ることとなるでしょうか。
株主総会を開催したところ、「株式を相続した」という株主が総会に来ることは、少なくありません。
このような株主に対し、企業側がいかなる対応をとるべきかは、どのような形で相続がなされたかによります。
そこで、本記事では、株式の相続をめぐる手続や制度を見てみようと思います。
2.株主名簿の名義書換の手続
株主名簿とは、会社が株主を把握するために作成される名簿をいいます。
会社法によれば、株式の譲渡にあたっては株主名簿の名義書換の手続を経る必要があります(法130条1項・2項)。
法律上は「譲渡」となっておりますが、この規定は、相続の場合であっても適用されます。
そのため、相続の事実が認められる場合であっても、会社はその相続について株主名簿の名義書換の手続がなされていない限り、相続人を株主として扱う必要はありません。
そして、「株式を相続した」という相続人が株主名簿の名義書換を求めてきた場合、
会社は、株主名簿の書換請求における手続的事項を遵守している限り、これに応じなければなりません。
そこで、相続があった場合の株主名簿の書換請求の手続について、確認しておく必要があります。
具体的には、「株式を相続した」という相続人が、単独で、手続を行うには、除籍謄本や遺産分割協議書等の書類が必要となります。
3.相続人が複数名いる場合
株主に相続人がいる共同相続は頻繁に起こりえます。この場合、株式は、相続人間の共有におかれることとなりますが、
その権利の行使にあたって、通常の株式とは異なる手続に服することとなります。
具体的には、株主総会において株主として権利行使する際の方法が異なります。
企業が、「株式を相続した」という株主の権利行使が適法なものであるかどうかを判断するにあたっては、この違いを把握しておく必要があります。
詳細については、以下を参考にしてください。
4 相続により株式が取得された場合の企業の対応
中小企業において支配株主について株式の相続が起きた場合、経営能力に乏しい相続人が、株式の取得者として経営に関わろうとすることは少なくないです。
このような事態を未然に防止するために、相続人によって株式が適法に取得された場合どのような対応をすべきでしょうか。
会社法では、譲渡制限株式について相続が起きた場合、相続人に対する売渡請求の制度が認められています(法174条)。
これによって、中小企業における支配株主から株式を相続した、経営に関心のない相続人から株式を取得することができます。
そこで、このような企業における法務担当者は、株式に譲渡制限を付す旨の定款変更及び売渡請求の制度を設ける旨の定款変更を提言することが、対応としてあり得るといえます。
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