消費者庁がウィルス予防商品で注意喚起、景表法等の規制について
2020/03/14 広告法務, 景品表示法
はじめに
消費者庁は10日、新型コロナウィルスの拡大に乗じてインターネット上で予防効果を標ぼうする広告に対し緊急監視を実施した旨発表しました。30の事業者、46の商品に緊急の改善要請を行ったとのことです。今回は景表法および健康増進法による規制を見ていきます。
事案の概要
消費者庁の発表によりますと、消費者庁は2月25日から3月6日にかけて、インターネット上で新型コロナウィルスに対する予防効果を標ぼうする商品広告について、景表法と健康増進法の観点から緊急の改善要請を行ったとされます。対象商品は主に健康食品、空気清浄機、除菌剤で「ビタミンCはコロナウィルスから体を守る」「新型コロナウィルスはマイナスイオンで死滅」「身につけるだけでウィルス除去」などと表示されていたとのことです。これらの商品には現時点でウィルスに対する効果は確認されておらず、手洗いなど正しい予防方法を心がけるよう呼びかけております。
景表法による規制
景表法5条1号によりますと、自己の供給する商品・サービスにおいてその品質、規格、内容について一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示し、不当に顧客を誘引する表示は優良誤認表示として禁止されております。故意に表示行為を行った場合だけでなく、過失によって表示した場合でも規制対象となります。違反した場合には措置命令が出され(7条1項)、また課徴金納付命令が出される場合もあります(8条1項)。なお措置命令に違反した場合には罰則として2年以下の懲役、300万円以下の罰金またはこれらの併科となることがあります(36条1項2項)。
健康増進法による規制
健康増進法では食品に関する広告で、健康増進効果について著しく事実に相違する、または著しく人を誤認させる表示が禁止されております(32条の2)。実際と異なる「疲労回復」「カルシウム◯◯mg配合」「カロリー0Kcal」「血圧が高めの方へ」などといった表示が該当します。違反した場合には厚生労働大臣により措置勧告が出され(32条の3第1項)、それに従わない場合には措置命令が出されることとなります(同2項)。この措置命令に違反した場合には罰則として6ヶ月以下の懲役、100万円以下の罰金となります(36条の2)。
不実証広告規制
消費者庁長官は優良誤認表示に該当するかの判断に必要がある場合は事業者に対して期間を定めて表示の裏付けとなる根拠を求めることができます。期間内に提出が無い場合や合理的な根拠を示すことができなかった場合は不当表示とみなされます。消費者庁のガイドラインによりますと、①提出資料が客観的に実証された内容のものであること、②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していることが求められております。専門家や専門機関による試験、調査などに基づく資料等であれば望ましいと考えられます。
コメント
現在世界規模の新型コロナウィルスの拡大に伴い、インターネット上で根拠の無いデマや効果をうたう商品などが蔓延しております。これを受け消費者庁では緊急監視と注意喚起を行っております。上記のように製品や食品の広告に一定の効果を記載する場合には合理的な根拠が必要となります。「◯◯対策にビタミンC」「ハチミツで◯◯対策」といった表示は一般的行われている広告と言えますが場合によっては消費者庁などから根拠を求められることとなります。健康食品や空気清浄機、マスクなどを扱っている場合にはこれらの表示について今一度確認しなおしておくことが重要と言えるでしょう。
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