2020年施行予定の改正法について
2020/01/09 法改正対応, 民法・商法, 労働法全般, 法改正

はじめに
今年2020年は改正民法を始め、働き方改革関連法やパワハラ防止法など様々な法律が施行される予定となっております。特に民法は制定以来120年ぶりの大改正となっており企業法務に与える影響は大きいと言えます。今回は今年施行予定の改正法を概観していきます。
今年施行予定の改正法の概要
今年3月31日から適用となる有価証券報告書の記載内容にコーポレートガバナンス状況等を加える内閣府令を皮切りに、4月1日から改正民法、働き方改革関連法、改正健康増進法、改正意匠法などが施行され、6月1日からはパワハラ防止法が施行予定となっております。それ以外にも改正独禁法や改正資金決済法、改正薬機法、改正外為法などが2020年中に施行される見込みとなっております。以下主だったところを具体的に見ていきます。
改正民法について
改正民法についてはこれまでも何度も取り上げてきましたが、ここでも簡単に見直します。まず大きな変更点として瑕疵担保責任がなくなり「契約不適合責任」という新たな概念が生まれます。売買の目的物に隠れた瑕疵があるかという問題から、契約の内容に適合しているかという問題に変わります。また危険負担についても特定物に関して、滅失の際に債権者側の代金債権が消滅しない、いわゆる債権者主義も廃止され原則として債務者主義に統一し、債権者側は代金支払を拒絶できるようになります。債権譲渡についても大きな変更があり、譲渡禁止特約について譲受人が悪意または重過失である場合は譲渡は無効とされていたところ(最判昭和48年7月19日)、悪意・重過失でも有効とされます。また定型約款についても規定が置かれ、相手方に一方的に不利な内容のものは合意が無かったものとされ、合理性や必要性、相当性などがある場合には一方的に変更ができるとされます。時効に関しても用語が変更され、債権の消滅時効が10年となっていたところ、知った時から5年、権利行使できる時から10年と変わります。
働き方改革関連法について
2020年4月1日から働き方改革の一環として改正パートタイム労働法が施行されます。対象となるのは大企業であり、資本金3億円以下の中小企業は来年2021年施行となります。これは同一労働同一賃金の原則と呼ばれ、非正規と正社員とで雇用形態で賃金格差を設けてはならず、明確な職務内容によるものでなければならないというものです。企業はこの原則に則った待遇規定を策定し、労働者に説明責任を負うこととなります。また労働者と企業とで紛争が生じた場合に行政ADRを利用できるようになります。
パワハラ防止法について
2020年6月1日から労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法が施行されます。これにより事業主はパワハラを防止するための就業環境の整備や労働者からの相談、対応体制の整備などの措置が求められ、労働者が相談などを行ったことによる不利益取り扱いが禁止され、パワハラ問題に関する社員への啓蒙と周知、研修などを行う努力義務が課されることとなります。
コメント
以上のように今年は改正民法を始め様々な改正法が施行されていきます。多くの企業では現在、改正民法の施行に向けて契約書の雛形や定型約款の見直しに追われているものと思われます。一方で民法だけでなく過重労働やパワハラ防止のための法律も順次施行されていきます。特に大企業では正規と非正規の間で不合理な賃金・待遇格差が許されなくなることから労務対応も必要となってきます。また上記以外にも飲食店などで屋内原則禁煙となる改正健康増進法も施行されます。今後施行日が決定次第取り上げていく予定ですが独禁法や資金決済法などの改正法施行も予定されております。来年度に向けて随時法改正の情報をチェックし、対応していくことが重要と言えるでしょう。
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