個人情報の利活用に向けて~個人情報に関する制度改正大綱を発表~
2014/07/04 コンプライアンス, 情報セキュリティ, 個人情報保護法, その他
政府のIT総合戦略本部は6月24日、「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」を発表した。これは2015年の個人情報保護法改正に向けての政府の基本的な考えを示したものである。
大綱は、個人情報及びプライバシーへの消費者の意識が高まり、パーソナルデータが適正に取り扱われる制度の構築が望まれていると指摘。一方で事業者によるデータの有効な利活用も図るべきであるとしている。本大綱の概要は以下の通りである。
制度改正大綱の概要
①パーソナルデータの利活用促進策
現行法上は、個人データの第三者への提供は、原則本人の同意が必要であるが、個人が特定できる情報を加工により匿名化することで、本人の同意がなくてもデータの提供を可能にするとしている。
またデータの加工方法については民間団体が自主的なルールを策定し、第三者機関がその認定を行うとしている。
②保護の対象の明確化
指紋認識データ、顔認識データなど個人の身体的特性に関するもののうち、保護の対象となるものを明確化し、必要に応じて規律を定める。また差別の原因となりうる人種や信条、前科等の情報を「機微情報」として定め、個人情報にこれらの情報が含まれる場合には原則として取扱いを禁止する。
③第三者機関の設置
独立した第三者機関を設置する。第三者機関は現行の主務大臣が有している個人情報取扱事業者に対する権限・機能(助言、報告徴収、勧告、命令)に加えて、指導、立入検査、公表等を行うことができることとする。また現行の主
務大臣が有している認定個人情報保護団体に対する権限・機能(認定、認定取消、報告徴収、命令)も保有する。
また第三者機関は、民間主導による個人情報及びプライバシー保護の枠組みの創設に当たり、自主規制ルールの認定等を行う。
④グローバル化への対応
外国事業者による個人データの適切な取扱いを担保するために、第三者機関が、外国の当局に対し、その職務の遂行に資する情報の提供を可能とする。
また、データの保護水準が十分でない他国へのデータ移転制限を行う。
コメント
個人情報保護法の制定から10年以上経過し制定当初に比べ、より高度な情報通信技術を用いたパーソナルデータの利活用が可能になっている。この環境に対応した新たな個人情報保護制度を構築する必要性は高い。そうしたことからすると、本大綱の方向性自体は正しいものといえるが、保護されるデータの定義も未だ不明確であり、第三者機関の実効性も不透明である。改正法の作成に向けては更なる議論が必要である。
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