投資型クラウドファンディングの利用促進へ 金商法改正
2014/04/02 金融法務, 金融商品取引法, その他

金融庁は、3月14日、ベンチャー企業の資金調達の方法として、最近注目されている投資型クラウドファンディングの利用促進や新規上場時、上場後の資金調達の制度整備などを内容とした「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」を国会に提出した。
本稿では、その概要について確認したい。
金融商品取引法改正案の概要
1.投資型クラウドファンディングの利用促進
① 少額(募集総額 1億円未満、一人当たり投資額 50万円以下)の投資型クラウドファンディングを取り扱う金商業者について、兼業規制等を課さないこととするとともに、登録に必要な最低資本金基準を引き下げる。
これにより、有価証券を勧誘するために必要とされた金融商品取引業者の登録要件が緩和され、参入がしやすくなった。
② 非上場株式の勧誘をクラウドファンディングに限って解禁する。
従来は、非上場株式の勧誘は、日本証券業協会の自主規制で原則禁止であった。
③ インターネットを通じて投資の勧誘等を行うときは、契約締結前交付書面に記載する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与えるものについて、インターネットを利用する方法により、投資者が閲覧することができる状態に置かなければならないこととするとともに、 事業内容のチェックが義務付けられた。
登録要件を緩和することで懸念される詐欺的な行為への悪用に対応するために行為規制が設けられた。
2.新規上場にともなる負担の軽減
新規上場後、3年間に限り、「内部統制報告書」に対する公認会計士監査の免除を選択可能とする。但し、社会・経済的影響力の大きな新規上場企業(資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上を想定)は免除の対象外とする。
これにより、新規上場を躊躇させる要因の一つとなっていた内部統制報告書に係る負担の重さが軽減されることとなった。
3.上場企業の資金調達の円滑化
① 上場企業が自己株式を取得・処分する場合に「大量保有報告書」の提出を不要とする。
自己株式については、当該上場企業は議決権を有しないため、投資者がその保有状況を知る必要性が通常の株式に比べて限定的であるため、除外されることとなった。
② 虚偽の記載等のある書類の提出者の賠償責任について、無過失責任から過失責任へ変更する(但し、提出会社側に無過失の挙証責任を負わせる)。
併せて、損害賠償を請求できる者に取得者だけでなく処分者も追加される。
発行市場と異なり、流通市場では企業に利得がないことや他の違法行為抑止のための制度が充実していることから、軽減されることとなった。
コメント
本法案は、政府の成長戦略の中に掲げられる「家計資産等が成長マネーに向かう循環の確立」の一つとして、ベンチャー企業等の資金調達手法として近年注目されている投資型クラウドファンディングの利用を促進させることを主眼としている。
3月25日には、業界関係各社によるクラウドファンディング協会が設立されるなど、企業の資金調達の方法として、これからの成長が期待される分野であるため、今回取り上げることとした。
詳細は、以下の金融庁該当ページを参照されたい。
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