悪質クレームおよびクレーマー対処法
2018/09/20 危機管理, 民法・商法, 製造物責任法, 刑事法

1.はじめに
「レジ打ちを間違えたら、15分くらい暴言を吐かれた。」
「『殺すぞ。子供が泣いているのに景品をくれないのか』と言われた。」
このような悪質クレームは、主にサービス業において蔓延していると言われています。
9月11日、産業別労働組合「UAゼンセン」(以下、ゼンセン)が発表した調査によると、回答した組合員3万人余りのうち約75%に当たる2万2440人が、「業務中に悪質クレーム(迷惑行為)に遭遇したことがある」と回答。
そのうち9割以上が「ストレスを感じた」と回答しました。
ここでは、このようなクレームおよびクレーマーに対し、どのような対策を採るべきかについて説明していきます。
2.クレームとは
一般には、権利の主張という意味です。
商取引では、契約当事者から出される損害賠償の請求を伴った苦情のことをいいます。
ほとんどの場合、支払拒絶、支払延期、損害賠償請求を含んでいますが、ここでは、損害賠償請求等を伴わない、単なる苦情もクレームに含むものとします。
3.悪質クレームの定義・具体例および取るべき対策について
(1) 悪質クレームの定義
クレームは必ずしも悪いものではなく、中には会社にとって有益なものもあります。
ここで対策をすべきなのは、不当な要求であり、会社にとってリスクにしかならないものを指します。
現時点では、悪質クレームの明確な定義はありませんが、まず、そのクレームが正当かどうかを見極める必要があります。
(2) 悪質クレームの具体例
・店員に土下座等を強要する
・胸倉をつかみ、その結果、ケガをさせる。
・長時間説教し、拘束する。
・「クビにしてやる」「仕事のできない身体にしてやる」等の脅迫。
・怒鳴ったり喚き散らしたりする。
・「女に要職はやらせるな」「ババア」等の暴言。
・体形や性的な事項等をしつこく聞く
(3)取るべき対策について
上記のような事例は、場合によっては犯罪(強要罪、暴行罪、不退去罪等)、セクハラ等にあたる場合があり、録音・記録を取っておき、警察や弁護士に連絡することも必要です。
悪質なクレームに対して、相手方の要求を受け入れると、要求がエスカレートすることがありますので、受け入れる必要はありません。
また、1人で対応せず、必ず複数で対応するようにしましょう。
悪質クレームを受けた場合、即答すると、さらに要求が酷くなることが考えられますので、即答せず、責任者を通して対応するよう、心掛けることを徹底することも大切です。
(4) タイプ別クレーマー対策法
悪質クレームは種類も内容も様々で、臨機応変な対応が求められますが、実際にクレーマーに対面したときに慌てないために、クレーマーの
タイプ別に対策方法を定めておくのもひとつの方法です。
(5) 法務部の関わり方について
クレームは、真摯に対応していれば、法律問題に発展することは滅多にありません。
しかし、稀にですが、従業員に対する脅迫や暴行、傷害、威力業務妨害といった犯罪になりうることもありえます。
そのような場合に備えて、クレームの状況等に応じた対応マニュアルを法務部が中心となって作成し、社内で共有することが必要となります。
具体的にはクレームの内容がどのようなものであるか、暴力や大声等、従業員を畏怖させたり、業務に支障を来すような行為はあるか、といった点をチェックポイントとしてマニュアルを作成すると良いと思います。
関連コンテンツ
新着情報

- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...

- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード

- セミナー
藤原 鋭 氏(西日本旅客鉄道株式会社 法務部 担当部長)
西﨑 慶 氏(西日本旅客鉄道株式会社 法務部)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【2/19まで配信中】CORE 8による法務部門の革新:JR西日本に学ぶ「西日本No.1法務」へのビジョン策定とは
- 終了
- 2025/02/19
- 23:59~23:59

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- ニュース
- アウトドア用品大手パタゴニア、雇い止め訴訟が和解2025.4.28
- NEW
- アウトドア用品メーカー大手「パタゴニア・インターナショナル・インク」の日本支社に、無期転換前に...
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-26-2五反田サンハイツビル2階

- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分