消費税還元セール禁止へ 景気への影響は
2013/03/13 税務法務, 租税法, 税法, その他

事案の概要
政府の消費税引き上げに伴う転嫁対策に関するプロジェクトチーム(野田毅座長)は12日、消費税率引き上げに際して価格転嫁を円滑に進めるための特別措置法案を了承した。この法案は、自民党税制調査会で検討されていたもの。今期の通常国会で近く提出されるもよう。
内容としては、①消費税還元を掲げたセールの禁止、②公正取引委員会に対する大手による仕入れ買い叩きの調査・是正勧告権限の付与、③外税表示の一定期間許可等。
消費税は、平成26年4月に8%、27年10月には10%に引き上げられる事が予定されている。この際、大手小売に商品を販売している中小企業が、消費税増加分を価格に上乗せしやすくなるようにする事が、本法案の目的。
平成9年に消費税が5%に引き上げられた時、大手小売店が消費増税分還元セールを始め、消費が刺激された。一方で、それら大手小売と取引している中小企業の中には、この値引きの負担を強制されたり、増税分の転嫁を認める代わりに商品を買わされたりして苦しんだケースもある。①②はこれを防ぐ方法として採用された。また、③は、短期間で2段階の税率変化があり、値札の変更等、小売店の事務負担増大が予想されるので、それを解消するためのもの。消費税法63条を緩和する。
参考条文
消費税法
第六十三条(価格の表示) 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
コメント
過去の消費税引き上げ時の経験を元に、中小企業保護のための法改正をする事には諸手を挙げて賛成したい。
しかし、今回の法案については疑問もある。
①について、政府は、法令違反となる例は指針で示すとしている。しかし、当然の事ながら、一般の値下げセール等は規制出来ない。一般のセールと消費税還元セールの区別は実際には難しい。空文化のおそれがある。
仮に、その厳密な区別が可能であるとしても、消費税還元セールに販売促進策・景気刺激策としての効果がある事は否定出来ない。②に見られるような、監視体制や罰則の強化でも中小企業保護の目的達成は可能である。
①が真に妥当な方法か否か更に議論を要するように思われる。
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