神戸アニメストリート目玉ロゴにみる類似性問題
2016/01/04   知財・ライセンス, 商標関連, 著作権法, 商標法, その他

1 概要

世界的に有名な芸術家である村上隆氏が、自身の作品と誤認される恐れがあるとして、神戸アニメストリートの目玉形ロゴの使用の中止を求めた。同ストリート側は類似性を否定していたものの、交渉の結果、オープンからわずか1年で使用をやめることになった。

2 経緯と法的問題

神戸アニメストリートは、神戸市の地区商業の活性化モデルとして、株式会社神戸アニメストリートが運営しているオタク文化の発信スペースだ。昨年3月にオープンし、ロゴの使用を開始したが、インターネット上で村上作品との類似性を指摘するうわさが広まり、7月に村上氏が連絡し協議を開始した。
村上氏の法的主張は、同ストリート側の目玉形ロゴが村上作品と類似して村上氏の著作権を侵害しているというものだ。著作権侵害の法的問題点は、当ニュースで昨年12月28日にお伝えしたとおりである(http://www.corporate-legal.jp/houmu_news2009/)。具体的には、判例は、「他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴を直接感得できるかどうか」という基準によって、表現や創作性が共通しているかで判断している

3 注目点

注目して頂きたいのは、五輪エンブレムの事件以来、裁判にならなくても問題のロゴやエンブレムが使用中止になる事態が多発していること、またこのような事態が、オリンピックのような国際的行事レベルのロゴだけでなく、民間企業のロゴにまで及んでいる点である。同ストリート側は、今回のロゴは外部のデザイナーに発注したもので類似性はないとしていたものの、今年3月末でロゴの使用を中止することとなった。ロゴは、企業や事業のイメージを消費者に直感的に記憶してもらうためものであるから、本来長期の使用が予定されているものである。したがって、再度新しいロゴを作成する必要が生じたことは、打撃が大きいといえる。
また、今回の発端がインターネットユーザーによる指摘であったことも注目が必要だ。五輪エンブレムでは、ベルギーのデザイナー本人がエンブレムの国際発表を見て、自らの作品との類似性を指摘していた。しかし、本事件では一般のインターネットユーザー間の指摘が広がって、村上氏が行動を起こした。
このように、それほど注目されていない一民間企業の施設でのロゴやデザインも、インターネット上で掲載されれば誰もが見ることができる。そこから、ネットユーザーによって類似性が指摘され、場合によっては使用中止に追い込まれる事態が生じている。著作権侵害による使用中止や損害賠償請求がなされないとしても、ロゴやデザインが企業や商品の顔である以上、このような事態が企業のイメージの大幅なダウンをもたらす危険性が大きいので、どの企業にとっても注意を要する事態だ。

4 対策

企業がロゴやデザインを発表する前に、類似したものがないかをチェックする方法がある。すでに特許庁に登録された商標については、特許庁が検索用のプラットフォームJ-Plat-Patを公開している。また、登録商標以外では、画像に特化した検索エンジンサービスTineyeやgoogleの画像検索サービスを利用してチェックすることができる。

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