「違法コピーが止まらない~生活費を稼ぐ手段にまで・・・~」
2010/11/18 知財・ライセンス, 著作権法, その他

「スピードラーニング英語(全48巻)」は、あのプロゴルファー石川遼選手も受講していることでも、最近話題になっている英会話教材である。
男性は、スピードラーニングの音声データやテキストデータ(PDF)をUSBメモリに複製していた。
しかし、オークションの出品画面上には「スピードラーニングを始める方にちょうどいいメモリ容量」などと説明し USBメモリのみを販売しているように装って、全巻一括購入の正規品は161,280円のものを、5,800円で販売していた。
警察の調べによると、男性は3月ごろから5月ごろまでの3ヵ月間で、約100人にUSBメモリを販売し、約100万円を売り上げていて、生活費などを稼ぐために違法コピーを販売していたことを供述しているという。
現在、PCからインターネットを経由して、あらゆるサイトにアクセスが可能であり、ユーザーのニーズが生じたときに、すぐにその需要を満たしてくれる。情報化時代における重要な生活ツールになっている。
しかし、重要であり、利便性がある反面、PCを使うと数秒で全く同じコピーが作成できるため、違法コピーが広範に行われているのが実状だ。
著作権を侵害している、いわゆる海賊版ソフトウェアを販売している悪質なプロから、ひいてはPC個人ユーザーたちの手によって、違法コピーは家庭内、学校、企業の間にも蔓延しつつある。
このような現状の中で、今回の逮捕された男性は、生活費を稼ぐために違法コピーを行っており、少し前の時代でいう、生活のために万引きをしてしまう状況と似ているのではないか。
ただ、万引きと違うのは、PCがあれば、簡単に行えるものであるということである。そのためか、利欲的欲求を抑制しうる契機(監視の目など)が薄くなり、反復・継続して行い易いともいえる。
著作権法違反については、著作権法119条1項において、「行為者であれば、懲役10年以下…」となっている。これは、刑法235条の「窃盗罪の懲役10年以下…」と同じくらいに厳しい刑事罰となっている。
Webを使用した利便性が向上しているのは良いが、その手軽さと引き換えに違法性の意識が希薄化してしまっては問題である。
この先、日本だけなく、他国の事情も踏まえて、いかにして著作権についての権利意識を正しく広めて、共通の認識を持っていけるのかが、今後の課題となっていくだろう。
【関連リンク】
新着情報

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...

- ニュース
- 福岡高裁が技能実習生指導員の残業代を減額、みなし労働時間制について2025.9.1
- 熊本市の女性(42)が勤務先であった団体に未払い残業代などの支払いを求めていた訴訟の差し戻し控...

- 解説動画
岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード
- セミナー
松永 倫明 セールスマネージャー(株式会社Cyberzeal、Viettel Cyber Security所属)
阿久津 透 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】経営と法務が備えるべきサイバーリスク~サイバー攻撃被害の現実と予防策〜
- 終了
- 2025/05/29
- 17:30~18:30