スクエニが謝罪!ハルコ・オッペンハイマーは違法か
2015/02/05 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
スクウェア・エニックスは1月29日、ブラウザシミュレーションゲーム「スターギャラクシー」のホームページ内において「特定の人物を連想させる表現があった」としてキャラクター氏名とその設定を改めたと報告し、ユーザーに謝罪した。問題となったキャラクターは、“ハルコ・オッペンハイマー”。茶色いロングヘアに白い羽織ものを着た女性キャラクターで、「究極細胞というテーマで危険な研究をしている研究者」という設定をしていた。当該キャラクターは、理化学研究所元研究員小保方晴子氏を連想させるものであったと考えられ、ネット上で、「理化学研究所の小保方氏に似ている」と話題になっていた。
同キャラクター名の使用継続は違法か
今回の小保方氏を連想させるキャラクターの使用につきなぜ謝罪に至ったのか。法的リスクについて考えてみると、氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利(いわゆるパブリシティ権)の侵害のリスクが考えられる。しかし、小保方晴子氏を実名で使用した訳でもなければ、キャラクター画像も本人とは全く異なるものであったことからすれば、パブリシティ権を侵害したとまでは言えないのではないだろうか。
また、「究極細胞の研究」という設定だけではプライバシーの侵害にも当たらず、名誉を棄損するものでもなさそうである。
このように考えると、「ハルコ・オッペンハイマー」の名称を使い続けたとしても、違法とは言えないのではないだろうか。特にスポーツゲームの世界では、実名選手を登場させられない場合に、明らかに当該選手と連想させるキャラクターを登場させるものも多く、このようなキャラクターでさえ問題となっていない以上、今回の件が特に問題になるケースは少ないのではなかろうか。
コメント
今回のスクウェア・エニックスの対応は、法的な問題というより、倫理性の問題として自主規制したものと思われる。話題性のある人物を風刺し、便乗する手法は、話題性を呼ぶし、時には炎上商法としての効果もあるだろう。しかし、このような手法は倫理観に欠け、ひいては当該企業や商材の価値を著しく下落させる恐れがある。特にSNSの発展により、予想外に過度の炎上に発展する恐れもあるだろう。企業はこのようなリスクを踏まえた上で、倫理観をもって慎重にマーケティング方法を考える時代になったと言えるだろう。
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