大学の自治と政治活動
2014/12/01 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
11月13日、警視庁公安部が京都市左京区の京大学生寮の熊野寮で家宅捜索に着手すると、活動家ら数十人と押し問答となった。
捜索の背景には東京・銀座で同月2日に起きた公務執行妨害事件があり、中核派が主導する集会後のデモ行進に参加していた活動家3人が、機動隊員に暴行したとして逮捕された。逮捕者のうち2人は京大生で熊野寮を拠点にしていたとみられるため、学生寮が家宅捜索の舞台となった。
公権力が大学の施設に立ち入ることは、憲法23条で保障される学問の自由を制度的に保障するために認められた大学の自治を侵害する違法な捜査となるのではないか。大学の自治と公権力の対立の構図が東大ポポロ事件を彷彿とさせると世間では言われている。大学の自治とその限界が問題となるかに思える
大学の自治の意義
大学の自治は研究内容の自主決定のみならず、大学の施設、学生の管理が含まれる。公権力の干渉を許すと公権力が学問の内容に横槍をいれ、学問の自由が萎縮することから、大学における研究・教育の自主独立を守るためには公権力からの干渉を極力排除し大学の自主決定を尊重する必要がある。
東大ポポロ事件
東大ポポロ事件とは、政治的色彩を含む劇を学内で行っていたところ、学生が会場にいた私服警官に暴行を加えた事件である。
1審では警察が捜査のために大学に立ち入ることが合法化されるものではないと判断した
そのため、大学の学生が、警察官を捕え暴行を加える等、一見すると逮捕暴行等の違法行為に該当するように見えるが、警察官の違法な捜査を阻止する目的にでたものであって、法令上正当な行為として罪とならないとしていた。
しかし、上告審では、政治的的活動に当る行為をする場合には、大学の学問の自由と自治は保障されず、警察官の捜査は適法であるため、学生が警察官を捕らえることは違法とされた。
コメント
結局、ポポロ事件では、大学内の集会といえど政治社会的活動にあたる場合は学生が大学の自治を盾に捜査を排除することが出来ず、警察官の捜査も適法であるとされた。それが大学の自治の限界といえる。
もし、本件の熊野寮の捜索について裁判になった場合、捜索は違法と判断されるか否か、今後の動向に注目したい。
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