新日鉄・住金合併で公取は、どうでるか?ハーフィンダール・ハーシュマン指数に関するわかりやすい解説
2011/10/18 独禁法対応, 独占禁止法, メーカー

コラム
1.コラム
国内市場が縮小中の今、日本企業は、海外勢との激しい競争にさらされている。鉄鋼などの装置産業は規模の経済を働かせることが重要なため、M&Aなどを積極的に行い、シナジー効果を働かせて、研究にお金をつぎこんでいくことが要求される。
新日鉄・住金の合併は、国内市場がどんどん縮小していくなかで、高い危機感を持っている2社が、生き残りのため、手を結んだものと考えられる。
世界1位のアルセロール・ミタルは従業員30万人以上のマンモス会社で、積極的なM&Aで知られる。インドのメーカーから世界1位までのし上がった手法は、経営難に陥った鉄鋼メーカーを買収し、再生するというものである。ただ、アルセロール・ミタル社は、技術力では、新日鉄と比較しても特許の件数で負けている。(新日鉄1000、アルセロール・ミタル40)
では、公取はこの合併にどのような判断をくだすのか?
ひとつ参考になるのがHHI指数である。(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)
この指数は市場に参入している企業の各社のシャアを二乗した上で合計したものである。たとえば10社が10%ずつ分け合っているような市場であればHHIは1000になる。近年の独禁法改正によってHHIがより重視される形へと変化しつつある。
新日鉄、住金の合併では、製品によっては、5割のシェアを超えるものもあるが、最近の公取は市場の範囲を海外まで広げ、世界規模で競争している分野については、柔軟な姿勢を示す可能性もある。(国内市場だけに限定して審査を行うと、国内で独占状態になっていれば、たとえ海外で競争していても、合併が認められないことになるが、近年の法改正や、財界などの要望などにより、海外での競争も考慮にいれながら実質的な判断を行うことが、公取に求められている。)
雑感
2.雑感
この合併審査は、注目度も高く、公取のプレッシャーも相当なものがあるだろう。ここで、出した判断は後の審査に影響をあたえることが確実なので、下手なことはできない。ただ、スピード感が最も重要とされる経営において、公取の審査にかなり時間がかかるというのは、問題があると感じる。
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