中国銀行の悲哀・・・ 不正融資責任で異例の代表権者総退陣!
2011/03/30 商事法務, 会社法, 金融・証券・保険
<概要>
中国銀行は29日に永嶋旭頭取ら代表権保有者3名を総退陣させると発表した。代わりに宮永雅人常務が頭取に昇格する。正式には6月下旬の株主総会後の取締役会で決定する。
中国銀行は2月に会社更生法の適用を申請したバイオ企業林原向けの債権が焦げ付いており2010年4~12月期は18億円の最終赤字に転落した。林原はADRを申請した際に粉飾決算が明るみになっている。関係者によれば90年10月期から01年10月期まで売掛金や売上高を過剰に計上していたという。また会社法で設置を義務付けられている「会計監査人」を置いていなかった。この様な不正を中国銀行は見抜くことなく融資を続けたことに林原の利害関係者から批判が強かった。今回の総退陣は、その批判に対してケジメを付け、経営悪化の責任をとる格好となった。
現在、林原は会社更生法の適用を受けて更生管財人が更生計画の策定を進めている。中国銀行は林原の所有地を担保に取っており、その対応にも注目が集まっている。中国銀行が現在発表している業績予想にはこの担保が有効であることが前提になっている。
<コメント>
林原は中国銀行の株式の10%以上を保有していたという。慣れ合いによる金融機関の融資は本当に勘弁してほしい。金融機関は自分たちが動かしているお金が預金者の大切な財産であること再認識してほしいものだ。とはいっても、バブル破綻後でさえ、日本の銀行は圧倒的な低金利であることをいいことに、注入された公的資金をヘッジファンドに融資して利ザヤを稼いでいた。この様な銀行側の姿勢をみせられると、銀行はどんなに痛い目にあっても根っこの体質は変わることがないのではと思ってしまう。ただ、最近の論調はリーマンショックの影響からかバーチャルマネーへの風当たりが強すぎる気がする。バーチャルといっても立派なお金、もっと借金をしやすくして世のお金を増やし金融を活発化しないと天下が回らないのもまた事実である。リテールを誠実にこなしているだけでは銀行は収益を上げられまい。世間が金融に誠実さを求めた結果、それが銀行の不正に繋がっているのだとしたら皮肉なものだ。
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- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
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