日生子会社など4社に課徴金勧告、一連のインサイダー事件に区切り
2013/12/04 金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険
事案の概要
昨年相次いで発覚した公募増資をめぐるインサイダー取引に関する事件の調査に区切りがついた。証券取引等監視委員会は12月2日、日本生命保険の子会社であるニッセイアセットマネジメントなど4社につき課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。
勧告の対象となった4社のうち、ニッセイアセットマネジメント、スタッツインベストメントマネジメント、フィノウェイブインベストメンツの3社は、2010年に野村証券の営業担当者を通じて国際石油開発帝石の公募増資に関する情報を発表前に入手し、保有していた同社株式を売却して損害を免れた。3社に対する課徴金額はそれぞれ41万円、54万円、17万円となっている。
シンガポールのファンドであるMAM社も、2010年にJPモルガン証券の元営業担当者から日本板硝子による公募増資を公表前に伝えられ、同社株を売り抜けた。課徴金額は804万円となっている。
コメント
インサイダー取引は金融商品市場の信頼性を損なう不公正な取引であり、投資家保護および市場の信頼性確保の観点から、金融商品取引法(以下、金商法とする)により規制されている。
一連のインサイダー取引の発覚等を受け、今年6月には改正金商法が成立し、来年4月に施行されることとなった。改正金商法では、インサイダー取引規制の強化として投資家(資産運用会社)の違法行為に対する課徴金の引き上げ等が規定された。
ただ、今回の4社のうち3社に対する課徴金額はその免れた損害と比べきわめて少ない額となっている。例えば、ニッセイアセットマネジメントは顧客が保有する帝石株を売り抜けたことで、株価下落に伴う1億4254万円の損失を回避したされるが、課徴金はニッセイアセット側が得た利益に科されるため、顧客から得た運用報酬額である41万円にとどまることとなる。課徴金の引き上げによっても今回のようなケースでは違法行為に出る方がうまみがあり、どこまで規制の実効性が上がるかは不透明である。
今後もインサイダー取引規制の強化につき金商法の再改正も含めた検討が重ねられるべきだろう。
関連コンテンツ
新着情報
- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 前田 敏洋弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- ニュース
- いなば食品で新卒・入社辞退者続出、事前説明と実際の雇用条件に相違か2024.4.22
- NEW
- 「CIAOちゅ~る」などの販売で知られる大手食品メーカー、いなば食品に入社予定だった一般職の新...
- 解説動画
- 大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間
- セミナー
- 白井 薫平(Prighter Group)
- 阿久津 透 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】データ保護規制のポイント比較:EUのGDPRとこれからの日本の個人情報保護法
- 2024/05/15
- 17:00~18:00
- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...
- 弁護士
- 中島 星弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 業務効率化
- Lecheck公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分