法務パーソンが苦手な“面接質問”とその対策(2)

 
 

こんにちは。法務専門キャリアアドバイザーの潮崎です。今日は、前回に引き続き、多くの法務パーソンが苦手とする面接質問への対策をご紹介します。本日ピックアップする質問は以下です。

 

 

1.質問の意図

多くの法務パーソンにとってのメイン業務を占める「契約書審査」。応募者が、この契約書審査を適切に行えるか否かは、求人企業にとって大きな関心事です。

企業によっては、実際に自社で使用している契約書を題材とした筆記試験やディスカッションを応募者に課すところもありますが、そのような選考方法は準備に一定の負担を要するため、実施している企業はいまだ少数派です。

そこで、事前準備の負担なく、応募者が契約書審査を行ったときのアウトプットをイメージする手段として、この質問が投げかけられることになります。

 

2.質問者が一番知りたいこと

では、求人企業は、応募者がどのような形で契約書審査を行うことを求めているのでしょうか?

従前は、契約書審査時に以下のような仕事の進め方をする法務パーソンが多数を占めていました。

 

・法律文書としての形式面の正しさに強くこだわる
・スピードよりも正確さを重視し、とても慎重に仕事を進める

 

換言すると、法律専門家としての立ち位置を重視し、リスクヘッジに注力する仕事の進め方と言えます。

 

しかし、法務パーソンと事業部担当者が協働する機会が増えたこともあり、近年、求人企業側のニーズは、「ビジネスへの当事者意識を持ち、現場と協働できる法務パーソン」へと、大きく変化して来ています。

そのため、この質問の裏側の意図として、応募者がビジネスへの当事者意識を持っているか、ある程度、事業部と同じ目線で仕事を進められる人材かの確認があると言えます。

 

3.回答の方向性

上記を踏まえますと、回答の方向性としては、

 

自分自身のビジネス当事者意識が、契約書審査時にどのように発揮されているか

 

を、具体性を持って説明していくのが有効になると思います。

ご自身の「法務観」にも繋がるテーマだと思いますので、自分だったら、この質問にどのように回答するか、ぜひ一度、検討してみてください。

 
 

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【回答の一例】
※求人企業からの面接フィードバックを元に構成しております。

 

まず、検討を要する条文を見るときに、文字列として捉えずに、必ず、条文の内容を映像でイメージするように心がけています。

文字列だけで捉えてしまうと、どうしても、一つ一つの単語のネガティブなイメージに引っ張られた判断を行いがちですが、映像でイメージすることで、

・条文に書かれた内容が実際に発生する確率
・発生した場合に誰がどんなタスクを負うことになるのか
・そのときのコスト、損害額

などを具体的に考えられるようになるためです。

 

逆に、映像でイメージできない場合には、情報が足りていないということなので、イメージできるまで、事業部担当者へのヒアリングやリサーチを行うようにしています。

 

そのような過程を辿って具体的に考えると、一見、自社にとってリスクが大きそうな条文でも、案外、それほどリスクは大きくないとわかることも多いです。

また、契約書審査に伴う修正提案には、大なり小なり契約決裂・遅延のリスクが伴うため、修正提案を行う際には、相手との力関係を意識しつつ、

・この契約が決裂したときにどんな影響があるか
・契約スタートが遅れるとどんな不都合が生じるか
・代替となる取引先の開拓難易度

なども考えながら、修正提案の是非・内容を検討するようにしています。

 

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株式会社パソナ
法務専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務職専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

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