【法務NAVIまとめ】リコールと製造物責任(PL)法

はじめに

今月21日、ダイハツ工業は、同社の軽乗用車「タント」の部品に腐食の恐れがあるとして、リコールを国土交通省に届け出ました。
自社製品について、販売後に欠陥が見つかった場合、企業はどのような責任を負うのでしょうか。
今回は、製造物責任(PL)法について検討します。

PL法の概要

PL法とは、消費者保護を目的としており、製品の欠陥によって生命、身体、財産に損害が生じた場合、製造会社に対する損害賠償責任を定めた法律です。

「製造物」とは
PL法の対象は、大量生産・大量消費される工業製品を中心とした,人為的な操作や処理がなされ,引き渡された動産です。
不動産やソフトウェア、加工前の農産物は含まれません。

「欠陥」とは
条文上は「通常有すべき安全性を欠いている」状態を指します。
基準自体、問題になった製品の性質に依拠するため個別具体的な判断となりますが、概ね下記のような分類となります。
①設計の欠陥
 設計段階で既に安全性に問題がある場合。 
②製造の欠陥
 設計通りに製造されなかったため、安全性に問題が生じた場合。
③指示・警告上の欠陥
 製品を使用する上で生じる危険について、消費者側で事故防止するのに適切な情報を与えなかった場合。

責任を負うのは誰か?
条文によると……
「当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者」(2条3項1号)

注目すべきは、「輸入した者」が含まれている点です。
具体的には、海外から輸入した部品に欠陥が生じた場合にも、自社で製造加工した場合と同様、賠償責任を負います。
これは、一般消費者が海外の製造加工業者に責任追及するのは困難であるため、一端国内の輸入業者に賠償責任を負わせ、海外企業に対する責任追及は輸入業者が求償の形で行わせるというものです。
その他、同条文2号及び3号で、責任主体がOEM製品やプライベート・ブランドの供給者にまで拡大されていることにも同じく注意が必要です。

出典:消費者の窓・製造物責任(PL)法について
出典:大阪市消費者センター・製造物責任(PL)法って、なに?

裁判例

①7歳の男児がこんにゃくゼリーを気道に詰まらせ死亡したとして、遺族が和菓子製造業者に対して損害賠償を求めた事案。
損害賠償額は7482万円。和解で終了。

②美白化粧品を使用したところ肌に白斑被害が生じたとして、一般消費者が化粧品製造販売業者に対して損害賠償を求めた事案。
現在、複数の裁判所にて訴訟継続中。

③低温ブライン循環装置製造業者が、当該機械装置の備品に欠陥があるとして、部品製造業者に対して損害賠償を請求した事案。請求額は約4900万。請求棄却、原告控訴。

④家庭用シュレッダーが破裂し右耳難聴の後遺症を負ったとして、一般消費者が当該シュレッダー輸入販売業者に対し損害賠償を求めた事案。請求額は約8900万。3900万認容
出典:消費者庁・製造物責任(PL)法による訴訟情報の収集

対策

企業はどのような対策をすればよいでしょうか?
まず第一に、当然ですが、欠陥を生じさせないことです。
自社で製造加工する場合はもちろん、外部に委託する場合や輸入品を使用する場合には、製造工程や製品保存・運搬の情報を十分に収集し、不備を発見し次第、改善指示を出せる環境を構築することが重要でしょう。
また、消費者が間違った方法で製品を使用しないよう、製品に付属する説明書等の記載を見直すことも重要でしょう。その際、従来のような記載ではなく、大きく簡易な文字を使用したり、フォントや色を変えるといった工夫を凝らすのも良いかもしれません。
第二に、欠陥が生じてしまった場合には、被害拡大防止に努めることです。
リコールを怠れば、被害をこうむる一般消費者は爆発的に増加します。国内のいたるところで訴訟となっては費用と時間を含め膨大な労力を割くことになるでしょうし、また、企業イメージという観点からも、早期の謝罪及び対応が望ましいでしょう。
第三に、PL法の損害賠償に関する保険制度もあります。
PL法の損害賠償用の保険を用意している民間企業が多くあり、なかには賠償額の保障だけでなく、リコール費用もカバーしたサービスもあります。

出典:日本商工会議所・中小企業PL保険制度
出典:PL保険ドットコム

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約2年2ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] moriizumi

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2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)
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2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにある
ミュンヘン知的財産法センター修了(LL.M.)、同年Noerr法律事務所ミュンヘンオフィス勤務
2017年米国ニューヨーク州弁護士登録

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18,000円(税別)
東京都港区
講師情報
野呂悠登
TMI総合法律事務所 弁護士

東北大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了

平成27年改正個人情報保護法の全面施行前後に、
個人情報保護委員会事務局において、
法令関係とデータの利活用関係を担当

近時の著書等には『個人情報管理ハンドブック[第4版]』(商事法務、2018)、
「AIによる個人情報の取扱いの留意点」(Business Law Journal、2018年6月号)、
「ビッグデータ・個人情報の利活用と先端ビジネス」(Business Law Journal、2018年8月号付録〔LAWYERS GUIDE〕)等がある。

主催
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
最近、AI関連技術の発展等により、AIの活用に対する期待が高まっており、ビジネスにおいて実際にAIの活用を始める企業が増えてきています。

AIを活用する場合、従来人間の脳が行っていた知的な作業をコンピュータに行ってもらうことになるため、従来想定されなかった様々な法的問題点が生じることが想定されます。
特に、機械学習を用いたAIを用いる際には、従来とは異なる方法で大量の情報を集積し又は処理を行うため、個人情報保護法やプライバシー権との関係が問題となりやすいと考えられています。

本セミナーでは、平成27年の個人情報保護法の全面施行前後において、同法を所管する個人情報保護委員会にて法令の担当者を務めた講師により、
AIを活用することを検討している企業の担当者向けに、企業におけるAI活用と個人情報保護・プライバシーの留意点を具体的な事例を基に解説します。
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講師情報
豊島 真
小島国際法律事務所
パートナー 日本及びカリフォルニア州弁護士

東京大学法学部卒
1999年弁護士登録(第二東京弁護士会)
カリフォルニア大学デービス校ロースクール修士課程卒(LL.M.)
国内外の販売店契約に関する取扱い案件多数
著作に「販売店契約の実務」(中央経済社・共著・編集担当)

主催
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
販売店契約(ディストリビューション契約)は、サプライヤーの商品を、販売店(ディストリビューター)の販売チャネルを通じて販売するための契約です。
本セミナーではかかる販売店契約を取り扱いますが、その意義・目的は以下のとおりです。

①実際の事例の紹介を多く行います。よく見かける契約書の条項の一言一句の大切さは、実際に問題が起こってから初めて思い知らされることが多いものです。
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