働き方改革まとめ 

0.イントロダクション

 「働き方改革」と聞くと、「政府が主導して労働環境を変えるもの」という認識を持つ企業法務担当者の方が多いと思います。しかしながら、政府が取り組む働き方改革は企業法務と無縁のものではありません。以下では、働き方改革の概要について1~3で説明し、働き方改革と企業法務への関係関連については4~7で説明します。

1.働き方改革とは

「働き方改革」は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、日本の企業や暮らし方の文化を変えるものです。
《参考》 
 厚生労働省「働き方改革」の実現に向けて  
 首相官邸ホームページ 働き方改革の実現 

2.働き方改革の目的

 働き方改革の目的は、日本経済再生に向けて、働く人の視点に立って、労働制度の抜本的改革を行い、働く方一人ひとりが、よい将来の展望を持ち得るようにすることです。

3.働き方改革実現へ向けての方法~10年先を見据えたロードマップ~

 働き方改革実現に向けて、①処遇の改善(賃金など)②制約の克服(時間・場所など)③キャリアの構築を現在の課題として、今後10年をかけてこれらの問題を解決するために19項目の対応策を講じて、2026年までにどのような政策をいつ実行するのか具体的に定めています。
《参考》 働き方改革実行計画(概要) pdfファイル 22頁

4.企業が働き方改革に取り組む理由

 働き方改革実現に向けて、企業が取り組む理由としては、①経済資源(≒ヒト)の最大化と②事業主の責任があります。

①経済資源の最大化
 働きやすい/働きがいのある職場環境を整えることにより、人材の定着率を上げ、モチベーションの向上による生産性・収益性の向上を図ります。
《参考》 働き方改革アドバイザー研修コンテンツ pdfファイル 17頁
②事業主の責任
 企業には社員に対する安全配慮義務が課せられています。長時間労働及び過重労働の是正は喫緊の課題です。企業は働き方改革を実現することによって、長時間労働から生じる企業価値低下のリスクを防ぐ必要があるといえるでしょう。
《参考》 働き方改革アドバイザー研修コンテンツ pdfファイル 18頁

5.企業法務と「働き方改革」の関連性

 上記②で記述したように、働き方改革は企業の安全配慮義務と無縁なものではありません。寧ろ、企業法務と密接な関連性があるといえます。今後、他企業が働き方改革に取組み、労働環境を整備していくことが考えられます。その状況下において、働き方改革に取組まず、労働環境を整備しない状態にあるのは、労働問題を未然に防止し、企業価値を守るという企業法務の観点からは好ましいものではありません。なぜならば、安全配慮義務の内容として、企業は労働者の労働環境を健全な状態に維持することが必要となるからです。安全配慮義務責任を果たしているかは企業と労働者という当事者間の事情を個別具体的に判断されるものではあります。しかしながら、他企業が整備している労働環境を整備せずに放置している状況は企業が一般的に負う安全配慮義務を懈怠していると評価されかねません。そうなると、労働問題が生じた際に、会社の責任を問われることも十分考えられます。その場合、損害賠償責任という金銭的責任のみならず、会社の信用低下や求人者減少による労働力の確保が困難になる等様々な弊害生じる可能性があります。
 以下の《参考》サイトでは、安全配慮義務違反の具体例を紹介しています。これらの事例を参考に生じる損害賠償金額や報道されてしまうことによる評価低下について一考する価値はあると思います。
《参考》 東京都労働相談センター 使用者の安全配慮義務

6.改善事例を検索

 企業法務の観点から何ら対策を取らずに放置することの危険性は上記で説明した通りです。そのため、出来るだけ早いうちに行動を開始するべきです。既に具体的な取り組みを始めている企業もあります。そのうち、いくつかの企業では、成果も生じております。以下のサイトでは、その具体的取組について業種や規模等細かい情報を入力して検索できます。

《参考》 働き方・休み方改善ポータルサイト 働き方・休み方改善の取組事例

7.助成金

 厚生労働省は中小企業を対象として労働時間等の設定の改善を通じた職場意識の改善を促進するために、職場意識改善に係る計画を作成し、計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業の事業主に対して助成金を援助します。職場意識改善に係る計画は、①職場環境改善コース②所定労働時間短縮コース③時間外労働上限設定コース④勤務間インターバル導入コース⑤テレワークコースに分けられております。
 助成金を得るためにはどうすればよいのかの詳細については、以下のサイトの職場意識改善助成金制度の項目をお読みください。

《参考》 厚生労働省 労働時間等の設定の改善 職場意識改善助成金制度

8.まとめ

 少子高齢化に伴う労働者人数の減少や働くことに重点を置く生活から労働と個々の人生の調和を図るというワークライフバランスへの転換期にある現在において、企業は時代に応じた働き方を整備する必要があるといえます。「働き方改革」の取り組みにつき、上記サイトの他企業の取り組みを参考にしたり、助成金が得られるかを確認するなど、企業に負担がかからないように、スムーズに「働き方改革」に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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[著者情報] kozaki

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○略歴
平成14年 司法試験合格
平成15年 京都大学法学部卒業
平成16年 弁護士登録(大阪弁護士会)
天野法律事務所入所司法修習57期
平成21年 ボストン大学ロースクール留学(LLM)
平成22年 帰国・外資系製薬会社法務部にて勤務
(人事・知財・製造部門担当法務)
平成23年 ニューヨーク州弁護士登録
平成23年 法律事務所に復帰
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■原 武之
略歴:
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2006年 川上・原法律事務所移籍独立(愛知県弁護士会に登録換え)
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー

使用者側の労務問題を中心に扱っており、労働組合との団体交渉、休職復職を巡る問題、解雇などに伴う労働裁判などを多数扱っている。

■和田 圭介
略歴:
愛知県春日井市出身
京都大学法学部・アメリカDuke大学LLM卒業。
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー

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弁護士・公認会計士 伊勢田 篤史
法務と財務の両面から、企業経営に関するコンサルティングを行っている。

■略歴
平成14年 海城高等学校卒業
平成16年 公認会計士試験(旧第2次試験)合格
平成18年 慶應義塾大学経済学部卒業
平成22年 あずさ監査法人退所
平成25年 中央大学法科大学院修了
平成26年 弁護士登録(東京弁護士会)
平成27年 中央大学法科大学院実務講師就任
平成30年 弁護士法人L&Aにパートナー弁護士として参画

■著書等
・「契約審査のベストプラクティス ビジネス・リスクに備える契約類型別の勘所」共著(レクシスネクシス・ジャパン)
・「応用自在!覚書・合意書作成のテクニック」共著(日本法令)
・「ストーリーでわかる営業損害算定の実務 新人弁護士、会計数値に挑む」共著(日本加除出版株式会社)


メディア出演
・あさイチ(NHK)
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講師情報
岡 伸夫
1992年 京都大学法学部卒業
1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
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