音や動きも保護される!?-商標法改正-
2015/07/22 知財・ライセンス, 商標関連, 商標法, その他

概要
特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、色彩のみからなる商標、音商標など、これまで商標として登録し保護することができなかった商標について登録をすることができるようになった。ラッパのマークの正露丸でお馴染みの大幸製薬は、今月、早速CMで流れているラッパメロディーの商標出願をしている。そこで、従来の「商標」権の範囲を拡大した背景やその範囲について説明する。
商標権の拡大背景
従来の商標権の対象は、文字、図形、記号もしくは立体形状と色彩の結合に限定されていたが、今回の改正により「音」や「色彩」等が、新たに単独で商標登録できるようになった。その背景には、音や色彩等が、それだけで宣伝としてパッケージのイメージまで連想させることができるため、言葉の壁を超えたブランディングツールとして用いられるケースが増えたことにより、音や色彩の使用者の業務上の信用の維持を図る必要性が高まってきた状況がある。また、海外では音や色彩等も既に保護対象となっているため、日本企業が海外諸国において出願や権利取得を進めるケースが増えたことも保護に至る理由となっている。
新たに保護対象に追加された商標権
(1)動き商標
文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標。
(ex)テレビやコンピューター画面などに映し出される変化する文字や図形など。
(2)ホログラム商標
文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標。
(ex)見る角度によって変化して見える文字や図形など。
(3)色彩のみからなる商標
単色または複数の色彩の組み合わせからなる商標(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標)。
(ex)商品の包装紙や広告用の看板などに使用される色彩など。
(4)音商標
音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標。
(ex)CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音など。
(5)位置商標
図形などの標章を商品などに付す位置が特定される商標。
(ex)久光製薬のサロンパスのデザインなど。
「サロンパス」と言われなくても、見た人が「サロンパスだ」とすぐに認識できるデザインの配置のこと
コメント
商標は、自己の業務に係る商品・役務を、他人の商品・役務とを識別するための識別標識であり、会社のトレードマークやブランドとなるため、買う側には安心して商品や役務の購入を促す効果があり、企業にとっては重要なツールとなる。今回の改正は知覚のうち聴覚まで拡大されたが、既に欧米では味覚、嗅覚、触覚も商標法で保護されるに至っている。日本においても消費者が区別できるのであれば、味覚等は会社のトレードマークになる可能性があるため欧米のように広く保護される可能性はあるといえるが、個人の感性が大きく影響するものであり識別し難いものともいえ、日本における導入は未だしばらく先になっていくのではないだろうか。今後の商標権の対象範囲についての議論が注目される。
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- 終了
- 視聴時間1時間27分

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