悪質な自転車運転者に対し講習受講を義務化へ

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昨今の自転車通勤ブームと自転車事故の現状

昨今の健康思考の高まりや、CO2排出量削減等のエコ活動推進を意識して、これまでの電車・自動車通勤から、自転車通勤に切り替えるビジネスパーソンが増えているようです。名古屋市役所では自動車通勤の場合は1000円の手当のところ、自転車通勤者には4000円を支給するなど、企業・自治体でも自転車通勤を奨励するところが増えています。さらに都市部においても“自転車専用レーン”の設置が増加するなど、“自転車通勤”はもはや一過性のブームではなく、ビジネスパーソンの新たなライフスタイルとして認知され始めていると言っても過言ではないでしょう。
しかし一方で、自転車事故の件数自体は年々減少傾向にあるものの、2013年の自転車と歩行者、自転車単独、自転車同士の事故による死亡者の数は10年前と比べて1.5倍以上(93件)にのぼりました。また、2013年7月には、自転車に乗っていた当時11歳の男児が、歩いていた当時62歳の女性と衝突し、同女性が寝たきりとなった事故について、神戸地裁が男児の保護者に9500万円の賠償を命じるなど、日本損害保険協会によれば、自転車事故における加害者に高額賠償を命じる判決が昨今相次いでいるようです。このような現状を受けて、東京都は自転車利用に関する条例を制定し、自転車保険への加入を努力義務とし、さらに、今月19日、兵庫県は、自転車使用者に自転車保険への加入を義務付ける条例案骨子を発表しました。
このような自転車通勤者・自転車利用者の高まりと、それに付随する事故が社会問題となる中で、政府は20日、悪質な自転車運転者に対し、安全講習の受講を義務化する内容を盛り込んだ改正道路交通法の施行令を閣議決定しました。

改正道路交通法施行令の内容

今回閣議決定された改正道路交通法の施行令では、まず以下の14項目を「危険行為」と定め、14歳以上の者がこれらの危険行為により3年以内に2回以上摘発された場合、その違反者は約3時間の講習を受けることが義務付けられます。

①信号無視
②通行禁止違反
③歩行者専用道での徐行違反など
④通行区分違反
⑤路側帯の歩行者妨害
⑥遮断機が下りた踏切への立ち入り
⑦交差点での優先道路通行車の妨害など
⑧交差点での右折車優先妨害など
⑨環状交差点での安全進行義務違反など
⑩一時停止違反
⑪歩道での歩行者妨害
⑫ブレーキのない自転車運転
⑬酒酔い運転
⑭携帯電話を使用しながら運転し事故を起こしたケースなどの安全運転義務違反

講習の具体的内容や方法は、6月1日の施行までに決められますが、上記対象者がこの講習を受講しない場合、「5万円以下の罰金」が科されることになります。なお、講習の手数料は各都道府県の条例で定められますが、今回の施行令では、その標準額が5700円に設定されました。

終わりに

上記のとおり、健康思考やエコへの取り組みから、都市部においても自転車通勤をするビジネスパーソンが増えています。自転車通勤者本人が、自転車マナーの確認や民間の自転車保険への加入を検討する必要があることはもちろんです。しかし、自転車通勤者が通勤中トラブルを起こした場合、もはや自転車通勤者本人のみの問題ではありません。すなわち、従業員が自転車通勤中に事故にあった場合は通勤災害の問題になりますし、万が一、自転車通勤中もしくは自転車で外回りなど業務中の従業員が他人に怪我を負わせた場合は、雇用主たる会社が責任を追求される可能性があります。企業の法務・管理部門としても、このような事態の回避またはリスクヘッジとして、今回の道路交通法改正を機に、従業員の自転車マナーの啓蒙や、さらには自社の自転車通勤に関するルールを見直してみるのもよいのではないでしょうか。

関連サイト

発生しうるリスクを意識した管理が必要!従業員の「自転車通勤」をめぐる問題点と社内規程・書式の作成例 日本の人事部

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約5年1ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] miyoshi

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