餃子の王将、未払い賃金2.5億円 是正指導受け判明

餃子

事案の概要

中華料理店チェーン「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスは2014年7月14日、従業員923人に対して計2億5500万円の未払い賃金があったと発表した。

発表によると、本来は1分単位で管理すべき勤務時間を、15分か30分単位で記録していたため、5分や10分といった「端数」の労働が賃金の支給対象外になっていたという。

昨年12月に京都下労働基準監督署(京都市)から指導を受け、全従業員1万4000人を対象に社内調査をした結果、未払いが判明した。王将フードサービスによると、昨年7月から今年2月の8ヵ月間、正社員やパート、アルバイトなどの一部賃金が未払いだったという。同社経営企画部は、「従業員の労働時間の管理が甘かった。再発防止に努めたい」と話した。未払い分は4~6月期決算に経費として計上しており、近く支払うという。

なお、今回判明した未払い期間より前については、「さかのぼって調査する予定はない」としている。

コメント

各勤務日について、正しい労働時間管理は「1分単位」とされている。これは法律に明示されているものではなく、通達によってそのように解釈されている(昭和63年3月14日基発150号、婦発47号)。したがって、労働基準監督署の監督官による立入調査でも、企業が労働時間管理を15分や30分単位で端数を切り捨てている場合、改善指導を受けることになる。

もっとも、賃金請求権の時効は2年(労働基準法115条)であるため、8ヶ月を超えた未払い賃金があれば、労働基準監督署の指導にかかわらず、その分の支払いを求めることができる。

今回のケースで王将フードサービスは、「さかのぼって調査する予定はない」としている。これは、労働基準監督署の指導内容に従うだけで、8ヶ月を超えて未払い賃金があったとしても、支払う必要はないという意味であろう。

しかし、8ヶ月を超えた未払い賃金が発覚した場合、後になって労働者が支払いを求めることもあるのではないだろうか。その求めに応じなければ、最悪の場合、大量退職者をだすおそれもある。飲食業界の人材不足が叫ばれるなかで、こうした事態も想定すべきと思われる。

そこで、王将フードサービスは、大量退職のおそれを予防するため、さかのぼって調査をし、8ヶ月を超えた未払い賃金が発覚した場合には、会社の余力を多少削ってでも賃金を支払うべきであろう。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約3年6ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] hkoizumi

詳細情報はありません。

このニュースに関連するセミナー

法務コラム
第93回MSサロン(名古屋会場)
2018年02月15日(木)
19:00 ~ 21:00
2,000円
名古屋市中区丸の内
講師情報
和田圭介
愛知県春日井市出身
京都大学法学部・Duke大学LLM卒業。
2005年弁護士登録。
2013年ニューヨーク州弁護士登録。
世界最大規模の国際法律事務所であるクリフォードチャンス法律事務所を経て、
2015年、IBS法律事務所を開設。
国内外の企業法務案件を主に扱っており、国際取引・英文契約を得意としている。
大手総合商社・外資系企業の法務部への出向経験があるため、企業法務の現場の問題意識にも通じている。
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、 「法務部員のための国際仲裁入門」です。
申込・詳細はコチラ
法務コラム
第92回MSサロン(大阪会場)
2018年02月06日(火)
19:00 ~ 21:00
2,000円
大阪府大阪市北区
講師情報
山口昌之
2005(平成17)年10月
大阪弁護士会に弁護士登録
なにわ共同法律事務所入所
2015(平成27)年1月
山口法律会計事務所入所
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、 「社員の不祥事に対する会社としての対処法(第2回)」です。
申込・詳細はコチラ

あわせて抑えておきたい関連記事

機能しない食品偽装の内部告発制度。5年間で「改善指示」に結びついたものはゼロ。... 機能しない食品偽装の内部告発制度。5年間で「改善指示」に結びついたものはゼロ。 2006年に開始された公益通報制度。制度開始から5年間で、食品の適正表示を規定したJAS法違反を疑う通報が国や都道府県に計63件寄せられているものの、違反事業者名が公表される「改善指示」に結びついたものは1件もないこと...
公取委が上半期の取組状況を発表、消費税転嫁対策特措法について... はじめに 公正取引委員会は20日、今年度上半期の消費税転嫁対策特別措置法についての取組状況を発表しました。今年度上半期の勧告がなされた件数は2件とのことです。今回は消費税を適切に転嫁するための措置法である消費税転嫁対策特措法による規制について見ていきます。 消費税の適切な転嫁 消費税が上が...
最高裁が元証券幹部の有罪確定、第三者への情報提供について... はじめに SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)が関わったTOBを巡るインサイダー取引事件で最高裁は、同証券元執行役員の吉岡宏芳被告(55)の上告を棄却していたことがわかりました。知人への情報提供行為でインサイダー取引の教唆犯が認められたことになります。今回はインサイダー取引の要件について...