労基署がゴムロール会社を書類送検、労働安全衛生法について

法務担当者が“法務”を語る新しいWEBメディアはコチラ

はじめに

大津労基署は13日、労働安全衛生法違反の疑いでゴムロール製造会社「金陽社」(東京都品川区)と滋賀工場の係長を書類送検していたことがわかりました。機械清掃の際に従業員が機械に巻き込まれ腕を切断したとのことです。今回は労働安全衛生法による安全規制について見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、印刷機器に使用されるゴムロール等を製造販売する金陽社の滋賀工場で男性従業員(18)が機械の清掃を行っていた際に右腕を機械に巻き込まれ切断したとのことです。機械はゴムの異物を除去する装置で、男性従業員は機械のゴム投入口付近の拭き取り掃除を行っていたとされ、その際に機械の運転を停止させず安全措置を怠っていた疑いが持たれております。大津労基署は13日、労働安全衛生法違反容疑で書類送検しました。

労働安全衛生法とは

労働安全衛生法は労働災害の防止体制構築等によって職場における労働者の安全と健康を確保し快適な職場環境を促進することを目的として制定された法律です(1条)。各事業者に安全衛生管理体制構築や安全措置、危険機械等の製造許可取得などを義務付け労働災害の発生の防止を促進しております。

安全衛生管理体制

労働安全衛生法では一定の業種とその規模により安全衛生管理者の設置が義務付けられております。林業、鉱業、建設業などでは事業場の従業員の数が100人以上、製造業、電気ガス業、水道業、通信業、旅館業、燃料小売業、自動車整備業、ゴルフ場等では300人以上、それ以外では1000人以上の場合に統括安全衛生管理者が必要です(10条)。この人数に満たない場合でも、これらの業種では50人以上で安全管理者が必要となります(11条、施行令3条等)。また50人以上の事業場では人数に応じて衛生管理者も必要となってきます(12条)。

事業者の一般的責務

事業者はその業種に関わらず一般的な危険防止措置として以下の措置が義務付けられております。まず機械や器具、爆発物、発火物等の危険物について危険防止の措置が必要です(20条各号)。原料やガス、蒸気、粉塵、放射線、振動、排気など事業工程で生じる物質等から健康被害を防止する措置(22条)や通路、床面、階段等の安全(23条)、作業行動から生じる危険防止(24条)、労働災害発生の急迫の危険があるときは直ちに作業中止および退避等の措置(25条)などが求められます。

機械等への規制

ボイラー、第一種圧力容器、移動式クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト、ゴンドラといった危険な作業を要する機械等を製造する場合はあらかじめ都道府県労働局長の許可を受ける必要があります(37条、別表第一、施行令12条)。またそれ以外の機械等でも、第二種圧力容器、ゴム等のロール機、小型ボイラー、小型圧力容器、プレス機、クレーン、防塵マスク、防毒マスク、絶縁用保護具等の設置をする場合は厚労大臣が定める規格や安全装置を必要とします(42条、別表第二)。

コメント

本件はゴム化合物を形成するロール機の異物除去装置の投入口の拭き取り掃除を機械を停止させずに行ったことにより生じた事故です。ゴムのロール機は42条に規定される機械に該当し厚労大臣指定の規格を要し、またそれ以前にも一般的な危険防止措置が必要とされます。これらの規定に違反した場合、罰則として6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課されることになります(119条1号)。以上のように危険な製品の製造や危険を伴う事業所だけでなく、一般的な事業所でも安全確保が義務付けられております。労災事故が生じた場合には罰則が適用される以外にも安全配慮義務違反として損害賠償請求がなされることも考えられます(労働契約法5条)。特に日本語に不慣れな外国人を雇用している場合には図は張り紙等を使用して危険防止措置を講じることが重要と言えるでしょう。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約1年6ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
関連法律タグ:
 
[著者情報] mhayashi

詳細情報はありません。

このニュースに関連するセミナー

コンプライアンス
《大阪会場》第125回MSサロン(企業法務研究会)「弁護士との付き合い方:顧問弁護士編」
2020年02月25日(火)
19:00 ~ 21:00
2,000円
大阪府大阪市北区
講師情報
溝上 絢子
大阪教育大学附属高等学校池田校舎卒業
大阪大学法学部卒業
大阪大学大学院法学研究科修士課程修了

2003(平成15)年04月
司法研修所入所(57期)
2004(平成16)年10月
大阪弁護士会に弁護士登録 当事務所入所
2008(平成20)年04月 - 2010(平成22)年9月
大阪大学高等司法研究科(ロースクール)非常勤講師
2011(平成23)年04月 - 2012(平成24)年03月
大阪弁護士会 常議員
2017(平成29)年07月 - 現在
吹田市立男女共同参画センター運営審議会委員
大阪弁護士会 高齢者・障害者総合支援センター運営委員会委員
大阪弁護士会 男女共同参画推進本部委員
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
セミナー部分では法務担当者のための意見交換会を行いたく考えています。
今回のテーマは「弁護士との付き合い方:顧問弁護士編」です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
コンプライアンス 労務法務 労働法
《東京会場》2020年の注目すべき法改正と法務トピック
2020年02月25日(火)
13:30 ~ 16:30
22,000円(税込)
東京都港区
講師情報
淵邊 善彦
ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士

1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
2020年は改正民法、改正独禁法、働き方改革関連法など重要な法改正が施行され、個人情報保護法などの改正も予定されています。

本セミナーは、これらの法改正の概要とそれがビジネスにどのような影響を与えるかを具体的に解説します。

重要な法改正の動きを俯瞰的に把握するとともに、各法改正が実務に与えるインパクトを理解することにより、社内においてメリハリがついた対応策を検討したり、社内研修を行ったりするための参考にしていただきたいと思います。

また、今年特に話題になりそうな法務トピックを取り上げ、その最新の状況をご紹介し、自社の法務部門の今後を考えるきっかけとしてもご活用いただける内容になっています。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
※セミナー広告を掲載したい方は、コチラ