【中国】日本自動車部品メーカー、独禁法違反で過去最大の制裁金

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事案の概要

中国では、日米独の自動車メーカーが部品価格をつり上げているのではないかとして、独占禁止法の規制当局が調査を進めていた。そして20日、中国の規制当局は、デンソーや三菱電機、矢崎総業、日本精工、住友電気工業など日本の自動車部品メーカー12社に独禁法違反があったと認定し、10社に合計12億3500万元(約200億円)の制裁金を支払うよう命じたと発表した。価格カルテルを結ぶなど業界ぐるみでワイヤーハーネス(電装部品)やベアリング(軸受け)といった自動車部品の価格をつり上げる不正行為があったと判断したことによるものである。海外企業を対象にした中国の独禁法違反では過去最大の摘発となった。

中国規制当局は、外国企業の中国向け価格がその他市場向けに比べ割高なことに関心を強めている。実際、中国での自動車の予備部品の価格は他の国と比べ高くなっている。これについて多くの自動車メーカーは、中国では認定販売店を通じた純正部品だけが販売されているが、ドイツなどでは消費者は純正部品よりも安価に流通しているサードパーティー部品(他社製品)を購入することが多いことによると主張している。また一部の外国自動車メーカーは、中国の販売価格が割高な理由として、不動産価格の高騰や外国製品に課せられている輸入関税や奢侈(しゃし)税を挙げる声もある。

中国で価格カルテルを取り締まる国家発展改革委員会(発改委)は、部品各社に「会社体制の見直し」も命令した。具体的には(1)中国の法律に従って販売政策と販売行為を見直す(2)全社員に独禁法関連の教育を実施する(3)消費者の利益に貢献する行動を即座に取る、といったことを命じた。摘発を受けた住友電は「厳粛に受け止める」とし、内容の確認を進める方針だ。自動車部品で国内最大手のデンソーは「再発防止に万全を期し、信頼回復に努める」としている。発改委は、「自動車業界の独禁法違反行為を厳しく取り締まる」としており、より大規模な事案に発展する可能性がある。

コメント

当初、外資の自動車部品メーカーが部品価格をつり上げているのではないかとして、中国の規制当局が調査を進めていた際には、「外資たたき」なのではないかとの批判があった。中国が独禁法により外国企業に値下げ圧力をかけている面も否定はできない。もっとも、今回摘発を受けた日本のワイヤハーネス業界を巡っては日本の公正取引委員会や米司法当局も独禁法違反で摘発しており、ベアリングについても欧米の当局が価格カルテルを相次いで摘発している経緯があるなど、業界として価格カルテル形成の前歴がある。

中国において司法は共産党の支配下にあるため、外国企業は当局の意向に従う以外選択肢がなく、独禁法も3省庁(商務省、国家開発改革委員会、国家工商行政管理局)が管轄しているなど特殊な市場となっている。この問題は自動車業界に限った話ではなく、他の業界(液晶パネルや粉ミルク等)についても中国は外資系企業を対象に独禁法調査を進めている。もっとも、経済規模の大きい中国は、各国の企業にとって有力な市場である。企業としては、中国市場に向けたコンプライアンス体制を整えることが急務であり、社員教育や監督を改める必要があるだろう。

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本記事は、約5年6ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] sasaki

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