消費増税を巡る議員と市場の思惑
2012/05/24 税務法務, 租税法, 税法, その他

事案の概要
消費増税法案など一体改革関連法案は21日に、衆議院特別委員会でようやく与野党論戦が始まった。3月末の法案提出からすでに50日以上が経過し、国会会期末まで1カ月。最重要法案の審議がここまで遅れるのは異例である。25日以降の審議日程も固まっておらず、法案の行方は全く見通せない。
審議の遅れは輿石幹事長などの民主党執行部が、党内最大勢力を率いる小沢元代表の政治資金問題の判決を見極めるため、引き延ばしたことが背景にある。自民党が2閣僚の問責可決に審議拒否戦術を取ったことが、先送り路線に大義名分を与えた。民主党内でも小沢元代表らが消費増税に反対していることを踏まえ、採決を先送りするための会期の大幅延長論や、法案を継続審議として国会を閉じる案が浮上している。
これに対しイギリスの大手格付け会社フィッチ・レーティングスは、日本国債の格付けを最上位から5番目の水準に引き下げた。声明で「日本の公的債務残高が今年末までに国内総生産の239%に達すると予想され、突出して高い水準」と指摘し、「財政健全化に向けた取り組みが切迫感に欠けると思われることに加え、その実行は政治リスクが伴う」と憂慮。消費増税についても「激しい政治的論争が続いている」と懸念を示した。
それを意識してか野田首相は社会保障と税の一体改革特別委員会で、「しかるべき期間を経て議論が煮詰まったときに採決するのは国会のあるべき姿だ。そのことから逃げることはあってはならないし、そんなことをするつもりは全くない」と述べ、採決の先送りを否定した。
コメント
閣僚内での意見の違いがあるのは当たり前のことだが、それが政治の決断力を大幅に鈍らせてはならないはずだ。今後意見の対立が激化するようでは日本財政は破綻するという市場の警告を真摯に受け止め、採決を遂行しなければならない。
万が一市場が採決不可能と確信し財政再建の目途が立たないと判断すれば、円の価値は暴落し日常生活は崩壊しかねない。欧州通貨危機の二の舞を演じないためにも、政治の決断力が発揮されることを望む。
関連コンテンツ
新着情報

- ニュース
- 全国初のカスハラ条例適用|配送業者への土下座要求を認定 ー三重県桑名市2025.7.2
- NEW
- 三重県桑名市は6月30日、全国初のカスタマーハラスメント防止条例に基づき、配送業者に土下座を要...

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分

- まとめ
- 改正障害者差別解消法が施行、事業者に合理的配慮の提供義務2024.4.3
- 障害者差別解消法が改正され、4月1日に施行されました。これにより、事業者による障害のある人への...
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- セミナー
殿村 桂司 氏(長島・大野・常松法律事務所 パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【アーカイブ配信】24年日経弁護士ランキング「AI・テック・データ」部門1位の殿村氏が解説 AIに関する法規制の最新情報
- 終了
- 2025/05/23
- 23:59~23:59

- 業務効率化
- 法務の業務効率化
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード