全国初、裁判員として聴覚障害者が審理に参加
2012/01/31 訴訟対応, 民法・商法, その他
Ⅰ、概要
前橋地裁で30日に始まった裁判員裁判において、耳の不自由な男性が裁判員に選任された。これまでに奈良地裁において、聴覚障害者が補充裁判員に選ばれた例はあるが、審理に参加するのは全国で初である。宇都宮地裁で、視覚障害者が選任された例はある。
裁判員法によれば「心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい障害がある者」(14条1項3号)は裁判員になれないと規定しているが、聴覚障害者でも選任される可能性があることが示された。
審理されたのは、2005年伊勢崎市内で、男性会社員の財布を奪い怪我をさせたとして、強盗致傷罪に問われている元少年(24)の裁判員裁判。
審理では、通訳者が男性と検察官の間に男性と向かい合う形で座り、手話で裁判官や証人のやりとりを伝えた。通訳者は男女4人で、15分交代で通訳にあたった。被告の弁護人は、通訳に配慮しゆっくり分かりやすく話すよう心掛けた、という。
過去に視覚障害者が裁判員に選任された例では、書類が点字にするなどの配慮がされた。
Ⅱ、コメント
聴覚障害者が裁判員に選任されたことは、障害者も健常者と変わらず、裁判を身近なものとして認識することを可能にする点で、裁判員制度の目的に適うものである。
しかし、証言に対する印象等は健常者と異なるであろうし、障害の度合い・サポートの内容によっては、円滑な裁判の進行に影響を及ぼすことも考えられる。
今後、公正・迅速な裁判を志向しつつ、障害者に対するサポートについて研究・議論を尽くし、障害の度合いに関わりなく広く障害者が参加できるような制度を作っていく努力が必要である。
関連コンテンツ
新着情報
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 業務効率化
- Araxis Merge 資料請求ページ
- 業務効率化
- LegalForce公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
- 斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 視聴時間1時間8分
- 弁護士
- 松本 健大弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- セミナー
- 大橋 乃梨子 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 /東京弁護士会所属)
- 田中 伸二 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第二東京弁護士会所属)
- 【オンライン】事業譲渡における法務DDの着目ポイント ~取引契約の規定内容を中心に~
- NEW
- 2024/05/31
- 12:30~13:00
- ニュース
- 兵庫県警が特別警戒対策室を設置、総会屋規制について2024.5.16
- NEW
- 今年も定時株主総会の季節が来ました。これに伴い兵庫県警は12日、総会屋の企業に対する不当要求...
- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-26-2五反田サンハイツビル2階