犯罪と精神鑑定―心神喪失で無罪って、どうなの?
2011/08/11 訴訟対応, 刑事法, その他

京都女性殺害、容疑者のホステスの精神鑑定請求へ
京都府でアルバイトの女性が殺害された事件で、京都地検は、容疑者とされているホステス(27歳)の精神鑑定請求を検討していることが判明した。
刑事裁判において、仮に犯行当時に心神喪失・心神耗弱状態であったと判断されれば、責任能力がなかった(あるいは限定的であった)として刑罰が減免されることになる。精神鑑定は、その判断を左右する重要な証拠となるため、結果が注目される。
【参照条文】
刑法39条「心身喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」
なんで無罪・減軽になるの?
刑罰は、基本的には、自由意思によって犯罪に及んだことに対する道義的非難であると考えられている。従って、この非難を受けるためには、自由な意思で行為に及んだと言えなければならない。
心神喪失者・心神耗弱者の刑が減免されるのは、自己の行為をコントロールできず、自由な意思で行為に及んだとは言えないためである。
心神喪失・心神耗弱者の処遇の実際
もっとも、刑罰が減免されたからといって、直ちに放免されたりするわけではない。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(略称は「医療観察法」)に定められた審判により、原則として鑑定や医療観察のための入院が命じられ(34条、鑑定入院命令)、必要性が認められれば入院決定や通院決定が下されるためである。対象者は、保護観察所に配置された社会復帰調整官(精神保健福祉士など)を中心に、医療観察を受けることになる。
従って、将来犯罪を行う危険性がある者が野放しにならないようなシステムにはなっているといえる。
雑感
そうは言っても、医療観察法上の審判が万能であるわけではなく、釈放されたからといって再犯の危険性がゼロというわけではなかろう。加害者である精神障害者の人権が重視される一方、被害者の人権が置き去りになっているのではないかとの主張もされている。
反面、医療観察法は精神障害者の治療よりも治安維持を重視しすぎているとの批判もあり、これに加えて精神障害者の裁判を受ける権利をないがしろにしたり、彼らに対する偏見を助長するのではないかという恐れを指摘する向きもある。
精神障害者の人権に配慮しつつ、被害者含め社会がなるべく納得できるように、落とし所を見つけるのは難しい。いずれにせよ、単純な問題ではないため、偏った見方にならないようにしたい。
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