ブログの更新は公職選挙法違反か!?お騒がせ市長に審判。
2011/07/31   訴訟対応, 民事訴訟法, その他

ブログの更新は公職選挙法違反か!?お騒がせ市長に審判。

鹿児島地検は28日、2005年の阿久根市長選の選挙期間中にインターネットの日記(ブログ)を更新し続けたなどとして公職選挙法違反等6件の容疑で告発されていた竹原信一前阿久根市長(52)について、いずれも不起訴(公選法違反の件は起訴猶予)とした。
この件については、かねがね、選挙期間中のブログ更新が、公職選挙法で認められた文書以外の文書の頒布行為として違法となるかで議論があった。
この点で、鹿児島地検は、ブログ更新については「現行法では法定外文書の頒布に当たり、違法と評価せざるを得ない」が、竹原前市長が県警の指摘を受けた後に更新した部分を削除したことなどを理由に起訴猶予としたと説明している。

公職選挙法とネットを用いての選挙運動

【1】公選法142条
第百四十二条  衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書並びに第一号から第三号まで及び第五号から第七号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。
六  指定都市以外の市の選挙にあつては、長の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 八千枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 一万六千枚、議会の議員の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 二千枚

※ 要は、市長選では、候補者はおよそ「文書」と呼べるものは、通常葉書と事前に届け出た2種類のビラしか配ってはいけないという規定である。

【2】 ネットを用いての選挙運動に対する総務省の見解
総務省はWEBページ、ブログ、電子メールも公選法142条で制限される「文書図画にあたる」と解釈し、なおかつWEBの更新については新しく書き加えた部分だけでなく過去に書いた部分も一体のものとして頒布・掲示したことになるとの見解を表明している。したがって、同省見解では「候補者は選挙期間中WEBサイトを更新できない」とし、電子メールについても、不特定または多数に投票依頼を行うことは公選法142条の制限にひっかかるとしている。

【3】ネットを用いての選挙運動の現状
上述の総務省見解の影響もあってか、多くの政党や候補者のWEBページは、選挙期間中は更新しないなどの措置を取っている。さらに、ブログやツイッターの書き込み、果てはmixiの足跡まで控える候補者が多い。

雑感

公選法142条が候補者が配れる文書の種類や枚数を制限しているのは、経済力にものを言わせて莫大な宣伝費をかける候補者が登場するのを防ぐためである。経済力の有無によって選挙の結果が左右されてしまっては、実質、経済力のない者の当選が難しくなり、真の民主主義が実現できないということであろう。

今回の竹原前阿久根市長の行ったブログ更新それ自体は、ほぼお金のかかっていない選挙運動であり、公選法142条が懸念する「経済力の有無によって選挙の結果が左右される事態」を招くとは到底考えられない。これを公選法142条違反だとする検察の見解に違和感を感じる人が多いのも無理のないことである。電話やはがき、新聞広告などでの選挙運動は合法で、インターネットでの選挙運動は全面的に違法というのは、インターネットの発達を想定していなかった時代に制定された法律を今なお用いていることの弊害が出た結果であろう。

ネットを用いての選挙運動が認められれば、有権者の情報取得にも大いに役立つし、知名度や資金力に乏しい候補者も、比較的安価に自身の主張を多数の有権者に届けることができる。ネット上での「なりすまし」による選挙妨害に利用されかねないとの懸念もあるが、それは、およそインターネットというものが存在している限り、ネットを用いての選挙運動が禁止されているされていないに関わらず、起こりうる問題である。
「なりすまし」に対する罰則の厳格化は必要であるが、「なりすまし」の危険を理由に、ネットを用いての選挙運動の解禁に及び腰になる必要はない。一刻も早い法の整備が求められる。

上間法務行政書士事務所
行政書士 齊藤 源久(さいとう もとひさ)

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