「シワ完全消滅」などと宣伝し販売も根拠なし、消費者庁から一部業務停止命令
2024/10/21 コンプライアンス, 行政対応, 広告法務, 景品表示法, 小売

はじめに
消費者庁は10月4日、「深いシワも完全消滅!!」などの宣伝文句をつけて美容クリームを販売していたとして、美容クリームなどの通信販売会社に3カ月の一部業務停止命令を出したと発表しました(処分は3日付)。
また、10月17日には、美容液などの通信販売会社に対する9カ月の一部業務停止命令も発表されています。
10月1日から景品表示法が改正され、誇大広告などへの罰則が強化されています。
“シワ完全消滅”などの誇大広告
消費者庁は10月3日、美容クリーム等を販売する通信販売業者「株式会社SUNSIRI」に対し、特定商取引法第15条第1項の規定に基づき、10月4日から来年1月3日までの3カ月間、通信販売に関する業務の一部(広告、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
報道などによりますと、SUNSIRI社は一部商品の広告で、実際よりも著しく有利であると消費者を誤認させるような表示していたということです。
具体的には、「塗って速攻?!深いシワも完全消滅!!」「市販の美容品とは違い確実にシワからシミまで消せます!」などの宣伝文言を記載していたといいます。
さらに、顔面にクリームを塗ってなでるような動作をすると即座にしわが消えるかのような動画や、商品の使用前後の比較で効果があったかのような画像を表示していました。
消費者庁は、これらの表示について合理的な根拠を示す資料の提出を求め、会社から提出がありましたが、合理的な根拠は認められなかったということです。また、購入時に示さなければならない解約方法についても表記がされていなかったといいます。
SUNSIRI社に関しては、2023年11月から2024年8月までの期間で4,000件近い相談が消費者庁に寄せられていたということです。
消費者庁は一連の表示が誇大広告に当たるとして、申込受付や広告業務の停止を命じました。また、再発防止策を講じることなどを求めています。
美容液販売会社に9ヶ月の一部業務停止命令
さらに10月16日、消費者庁は、美容液などを販売する株式会社「Happy Life Bio」に対し、特定商取引法違反を理由に9か月の一部業務停止命令を出しました。
Happy Life Bio社は、少なくとも今年5月22日から7月9日までの期間、美容液の広告にて、
「シミが99.9%消える!!」
「美容皮膚科で働く友人が激推しする“シミの漂白液”」
「2度とシミができない肌に生まれ変わる」
などの文言を記載していたということです。また、これらの広告でも、使用後にシミが消えたかのような画像が表示されていたということです。
会社は消費者庁からの求めに応じ、表示の根拠を示す資料を提出しましたが、効果を裏付ける合理的な根拠が確認されなかったといいます。
また、Happy Life Bio社の美容液などを購入した場合、消費者が商品解約するためには複雑な手続きが必要となっていました。それにも関わらず、詳細な手続き方法が購入時に明確に示されていませんでした。
そこで消費者庁は、Happy Life Bio社に対し、特定商取引法第15条の2第1項の規定に基づき、10月17日から25年7月16日までの9カ月間にわたる業務停止命令を出しました。
ちなみに、報道によると、消費者庁にはこの会社に関する相談も多く寄せられているそうで、その数は今年8月までの約5年間で約8,000件にのぼるということです。
消費者庁はHappy Life Bio社に対し、再発防止策を講じることなどを求めています。
コメント
誇大広告が相次いでいることなどを受け、改正景品表示法が10月1日に施行されました。改正法では、違反行為から遡って10年以内に再び違反をした場合には課徴金を1.5倍にするなど、課徴金制度の見直しなどが図られ、不正に対して厳しく対処する内容になっています。
改正内容に関し、広告担当者などへの周知をしっかりと行う必要がありそうです。
【参考】
改正景品表示法の概要(消費者庁)
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