サプリの広告で医薬品のような効果を宣伝か、健康食品会社社長を逮捕
2024/05/16   コンプライアンス, 広告法務, 薬機法, 医療・医薬品, 小売

Pixabayからのイメージ画像

はじめに


医薬品としての承認を受けていないサプリメントに関し、医薬品のような効果があるなどとインターネット上で宣伝したとして、健康食品などを販売する会社の社長が逮捕されました。

 

“がん抑制”とサプリを広告


今回逮捕されたのは、株式会社infoBank(福井市) で社長を務める男です。男は、自身の会社で販売しているサプリメント数種類について、国から承認を受けた医薬品でないにも関わらず、「大腸がん抑制効果」、「インフルエンザ症状が緩和」などと、あたかも医薬品のような効果があるかのような宣伝文句をつけて、会社のウェブサイトで広告したといいます。

サイバーパトロール中だった警察官が2023年10月に広告を発見してから、福井南署は捜査を進め、今年5月8日、医薬品医療機器法(承認前医薬品の広告の禁止)違反の疑いで男を逮捕しました。

男は警察の調べに対して、「間違いない」と容疑を認めているということです。

販売されたサプリメントは、いずれも別の会社が製造したものを仕入れたもので、警察は仕入状況や販売先などをさらに調べています。

 

医薬品医療機器等法の規制事例


「医薬品医療機器等法」、いわゆる薬機法では、医薬品・医療機器等の広告の内容によっては、その品質・有効性・安全性等について消費者を誤解させ、健康を害するおそれがあることから、広告の規制を行っています。

(1)虚偽または誇大広告の禁止(第66条)
(2)特定疾病用の医薬品・再生医療等製品の広告制限(第67条)
(3)承認前の医薬品や医療機器・再生医療等製品の広告禁止(第68条)

具体的に規制される事例をいくつか列挙します。

■虚偽広告の例
・「どんな難しい手術でも必ず成功させます!」「治療はどのような症例でも絶対安全です!」と、医学上ありえない記載を行った病院広告
・データの根拠を明確にせず「患者様満足度99%」などと満足度のみ表示している医療脱毛クリニックの広告
・歯のホワイトニングの術前術後の写真で、術後の写真を美しく加工し、あたかも治療の効果・成果だと誤認させる歯科医院の広告

■比較優良広告の例
・「他院では未熟な医師が質の広く良い量を提供しており、大変危険です!」などと、→不特定の他の医療機関を誹謗し、自社クリニックが優良であると記載した病院広告
・「サッカー選手のA様に患者第1号になっていただきました」、「モデルのB様が当院に来院されました」などと、著名人との繋がりを強調し、他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与え、患者を不当に誘引する恐れがある病院広告

 

どんな罰則がある?


厚生労働省などでは、新聞、折り込みチラシ、雑誌、パンフレット、インターネット等の広告内容に違反がないか監視を行っています。そして、違反を発見した場合には指導や取り締まりを行っています。

具体的な罰則や処分内容などは、違反の内容等により異なりますが(法第85条、法第86条、法第90条、)、刑事罰を科されたり、課徴金の支払いが課せられるなど、風評面も含め、経営に与える影響は小さくないといえます。

■罰則(法第85条、法第86条、法第90条)
・虚偽・誇大広告、承認前医薬品等の広告
→2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又はこれの併科。

・特定疾病用医薬品の広告
→1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれの併科。
※両罰規定により法人に対しては同額の罰金。

■措置命令(法第72条の5)
・虚偽・誇大広告、承認前医薬品等の広告
→違反したことを医薬関係者及び消費者に周知徹底すること、再発防止策を講ずること、その違反行為を将来繰り返さないこと等を命令。

■課徴金納付命令(法第72条の5の2)
・虚偽・誇大広告
→違反を行っていた期間中における対象商品の売上額×4.5%を課徴金として納付

 

コメント


薬機法における「広告」とは、
・顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・一般人が認知できる状態であること

以上3つの要件を全て満たすものが該当します。

注意したいのは、「広告」に該当するか否かの判断は、形式ではなく、消費者がこれら3つの要件を満たすと認識するか否かで判断されうるということです。

その意味で、会社として、「広告」と認識していないものが、薬機法の規制の対象となるおそれがあります。
会社が出稿している薬機法上の「広告」を漏らさず把握したうえで、それぞれ、内容面の適法性の精査を行う。水も漏らさぬチェック体制が必要となります。

 

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