グローバルキッズ COMPANY、連結子会社の虚偽報告に対する改善状況報告書を提出
2022/06/23 コンプライアンス, 行政対応, 行政法

はじめに
株式会社グローバルキッズCOMPANYは、東証プライム市場に上場中、174にのぼる保育施設の運営を手掛けています。そのグローバルキッズCOMPANYの連結子会社であるグローバルキッズが、児童福祉法等に基づいて東京都が実施した認可保育所の特別指導検査・認証保育所の特別立入調査にいて、改善すべき点を指摘されていました。当該指摘を受け、グローバルキッズでは、改善状況報告書を提出しています。そこで本記事では、グローバルキッズが受けた指摘事項の概要と、その後の取り組みについて詳しく見ていきましょう。
検査において指摘を受けた事項
グローバルキッズは認可保育所11施設と認証保育所5施設を運営していましたが、施設での勤務実態のない職員が在籍しているかのように、名簿、出勤簿等を偽造していたことが発覚しました。この偽造は少なくとも 2015年4月から2019年12月までの間、各区に対して虚偽の報告としてあげられていたことがわかっています。なお、「認可保育所」とは、児童福祉法において「保育所」という名称で呼ばれており、保育が必要な乳児・幼児を通わせて保育するためにつくられた施設のことです。一方、認証保育所とは東京独自の制度であり、定員や0歳児保育の有無、基準面積など諸々の条件に違いがあります。
指摘事項が生じた経緯
2021年に実施された豊島区による施設の監査において、グローバルキッズは豊島区に提出を求められた資料について虚偽の報告を行っていました。具体的には、2019年の名簿登載者の出勤簿について、本部所属であった職員の出勤簿を施設で勤務した実績があるようにグローバルキッズ職員が偽造し、提出していました。この偽造発覚を受け、東京都は、グローバルキッズが運営する保育所に対し、特別指導検査及び特別立入調査を実施しました(児童福祉法及び東京都認証保育所事業実施要綱の規定に基づく)。東京都の指示に基づき、グローバルキッズが運営する都内全認可保育所と認証保育所に対象に2015年4月以降の調査を実施したところ、複数の施設において勤務実態のない本部職員の名後偽造、およびこの名簿に基づく虚偽の報告を行っていたことが確認されました。
グローバルキッズCOMPANYは、この事案が発生した背景について、待機児童問題の解消に向けた急速な施設数増加や保育士採用難といった環境の中で、職員配置基準を遵守しなければならないという意識から、名簿や出勤簿等の偽造といった行為が横行してしまったとしています。また、今回の行為はコンプライアンス意識の欠如、これをやむを得ないと黙認するガバナンス不全が背景にあったことし、不適切な事務や報告をしながら公的資金を不当に享受しているという認識が著しく欠けていたと総括しています。
再発防止への取り組み
グローバルキッズが本事案を受けて取り組むとしている再発防止策は以下の通りです。
1 当事案に関する経営陣・関与者の責任を明確化、懲戒、役員管掌の変更、人事異動を実施
2 牽制効果発現を企図した、品質管理部の設置を含む組織改編、運営業務フローの見直し
3 全役職員への行動規範の浸透をはじめとするコンプライアンス教育の強化
4 法令等遵守を重視した人事評価制度の見直し
5 2022年6月の改正公益通報者保護法の施行に合わせて、コンプライアンス関係規程の改正と内部通報規程の制定、通報者保護の強化
コメント
本事案を受けて、株式会社グローバルキッズCOMPANYおよび連結子会社の株式会社グローバルキッズそれぞれにおける取締役の辞任、代表取締役の報酬減額が発表されました。また、同社は東京都以外の保育施設についても社内調査を実施しており、同様の虚偽の報告を行った疑いのある事案が1件存在するとしています。過去に受給した委託費等の返還が発生する可能性も含め、同社では対応に追われています。
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