消費者庁が「令和3年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」を公表
2022/06/07 広告法務, 景品表示法

はじめに
消費者庁では、不当な表示及び過大な景品類の提供行為に対し、景品表示法の規定に基づいた各種対処を行っていますが、近年、同法の普及・啓発に関する活動を強化するなど、表示等の適正化に努めています。この度、消費者庁より、同庁の2021年4月1日から2022年3月31日までの期間における景品表示法の運用状況等の資料が公表されました。本記事で、その詳細を見ていきます。
景品表示法違反被疑事件の処理状況
今回、消費者庁が公表した資料によりますと、同庁が景品表示法に基づいて調査を実施した件数は計374件で、令和元年(492件)、令和2年(440件)と年々減少傾向にあります。一方で、措置命令の件数は、令和元年度で40件、令和2年度は33件、令和3年度は41件と、ほぼ横ばいになっています。
詳細を見て行きますと、新規調査の中で職権調査の占める割合が令和元年が約15%だったところから、令和2年度は約33%、令和3年度は約32%と、職権調査の強化が顕著です。職権調査により効率よく悪質な景品表示法違反をあぶり出していることが推定されます。
■調査件数→374件
前年度からの繰越分169件+年度内における新規着手分205件
■処理件数→289件
措置命令41件、課徴金納付命令15件、指導172件、都道府県等移送19件、公正取引協議会等移送18件
景品表示法と健康増進法との一体的な執行
健康食品が広く普及している中、消費者庁は広告・宣伝の中には、虚偽・誇大広告や不当表示に当たるおそれのあるものも見受けられると指摘しています。これら虚偽・誇大広告等に対する厳正な法執行として、令和3年度において、健康食品に関して、景品表示法に基づく措置命令2件のほか、健康増進法第65条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案について、20件の指導が行われています。また、令和2年以降の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、ウイルスへの効果等を標ぼうする表示が見られたことも鑑み、表示の適正化に積極的に取り組んでいることが明記されています。例えば、新型コロナウイルスへの予防効果等を標ぼうしていた健康食品(カプセル、錠剤、粉末等)や首掛け型空間除菌剤(二酸化塩素)などに対する注意喚起がおこなわれています。
表示等の適正化への取組状況
消費者庁が行う表示等の適正化への取組状況としては、
①携帯電話端末の広告表示に関する注意喚起
②「景品表示法検討会」の開催、③「アフィリエイト広告等に関する検討会」の開催
④プラントベース食品等の表示に関するリーフレット及びQ&Aの公表
⑤景品表示法に関する相談業務
⑥景品表示法の普及・啓発
などを行っています。また、景品表示法の相談業務としては、消費者庁では公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等と協働して、景品表示法違反の恐れがないか事前に相談する窓口を設けています。
コメント
資料の最後では、令和3年度において消費者庁により措置命令が行われた事件の一覧が詳細と共に掲載されています。事例では景品表示法のどの部分に違反したかがわかるようになっており、いずれも第5条第1号、第5号第2号関係の違反となっています。なお、第5条第1号は「実際のものよりも著しく優良であると示している」場合、第5条第2号は「実際のものや他の事業者のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」となっており、紹介された事例はこれらに違反したものとされています。自社の商品を広告に掲載する際は、これらの事例を参考にすると良さそうです。
【外部リンク】消費者庁|「令和3年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」の公表について
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