課税回避!最高裁で決着!
2011/02/25   税務法務, 租税法, 税法, 金融・証券・保険

事件の概要

最高裁は、今月18日に、武富士の元専務に対する、1330億円の追徴課税処分を取り消した。

【事実】
武富士の元会長夫婦から、長男の元専務に対して、オランダ企業株が贈与された。今回の事件で贈与が実行されたのは、1999年。当時、元専務は武富士と香港の子会社の役員を務め、日本と香港を往復し、1997年~2000年の約3分の2を香港で過ごしていたとする。
2000年の法改正までは、海外に「住所」のある日本人が、国外資産を贈与された場合は非課税だった。
 
【問題点】
今回の事件のポイントは、「住所」を、いかに解釈することが妥当か、ということが争われている。
国税局は「住所は日本だった」として2005年に課税に踏み切ったが、元専務が取り消しを求めていた。

【高裁】
2008年の東京高裁判決は、いわゆる「租税回避スキーム」を使い、元専務が香港に居住した経緯は、あくまで租税回避のための偽装である旨を認定した。日本での生活状況を総合判断し、生活の本拠は日本にあったとし、課税回避を目的に出国して滞在日数を調整していたとし、課税を適法とした。

【最高裁】
最高裁は、課税回避目的があったとしても、滞在日数から考えて生活の本拠が香港だったことは否定できない、と判断した。
これは、条文の解釈を厳格に解したことになる。つまり、租税法律主義(憲法84条)に則った形となる。

【検討】
思うに、租税法律主義の趣旨は、国民負担となる租税について、予めルールを定め、誰もが、その内容を認知し、納得した上で納税することが、国民の権利・自由を保障することに資するからだ。国税局の恣意的な法律解釈での課税は許されない。
だが、上記記事にもあるが、贈与が行われた時期を見てもらうと、国が立法によって法の不備を改善する間に、駆け込み的になされたものといえないか。

最後に

さて、確定申告も始まり、国民の納税意識が高まる時期に、今回の最高裁判決は、どのように国民に見えたのだろうか。一般の国民では、「租税回避」などは困難である。そんな中で、富裕層が、専門家の助言により、租税回避スキームを使って課税を逃れることには、かなりの抵抗感を感じる。

また、武富士に対しては、過払い金返還請求がなされている。昨年10月、経営破綻した武富士は、2兆4000億円ほどの返還債務があるとされるが、支払い能力はないと考えられる。もちろん、経営陣に対する経営責任を問うことは、当然考えられるので、今回の還付を返還債務に充当すべきとする声もあがることだろう。
今回の最高裁判決は、いろいろな意味で波紋を呼びそうな判決であると考えられる。

ところで、今回は武富士という消費者金融が出てきたが、消費者金融の分野においては、最近いろいろと変わってきている。総量規制など、借りる条件が厳しくなり、お金を借りたくても、借りられない人も出てきていると言う。そんな中で、ヤミ金融などに流れるという危険も指摘されているところである。
このヤミ金融であるが、現在、「ビックコミック スピリッツ」で連載されている、『闇金ウシジマくん』(第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。)という漫画がある。去年の10月にドラマ化もされ、人気漫画である。ここでは、アンダーグラウンドな世界観が描かれており、引き込まれるリアル感の魅力がある。

今回の税金もそうだが、お金が絡む場面では、人間の本質が現れる。借金も税金も払いたくないのが本音かもしれないが、モラル意識が問われる場面と言えるかもしれない。

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