有名企業 私的整理から法的整理へ 不適切な会計処理が決定打
2011/02/04   事業再生・倒産, 倒産法, 破産法, その他

バイオ企業の林原(岡山市)が、2011年2月2日、事業再生ADR(私的整理)による再建を断念し、東京地裁に会社更生法の適用(法的整理)を申請し、受理された。
私的整理の成立には全債権者の同意が必要であるが、取引金融機関との調整がつかなかった。

林原は天然甘味料「トレハロース」や抗がん剤「インターフェロン」で知られる非上場ながら名門企業。チンパンジー研究や恐竜研究で国際的にも注目を集めている。
グループ会社の林原生物化学研究所、林原商事、太陽殖産も更生法の手続きを申請した。

2011年1月25日に、同社らが、事業再生ADRを事業再生実務家協会(経済産業省が認証した民間の第三者機関)に申請し、受理されたことが判明した。
再生案は、290億円の債務を株式化して金融機関に引き受けてもらうとともに、215億円の返済猶予をしてもらうという内容であった。
しかし、債務株式化などの金融支援では経営再建できるか疑問視された。また、不適切な会計処理をしていたことが発覚したことから、金融機関から透明性の高い法的整理が望ましいとの意見が強まっていた。
その結果、金融機関の同意が得られず、私的整理を断念した。

今後、東京地方裁判所が更生手続開始の決定により、会社更生手続が始まる。
会社更生法による更生手続(法的整理)では、上場廃止基準に該当したり、倒産速報(帝国データバンクなど)に載るため、風評被害が大きい。これに対し、事業再生ADR(私的整理)では、上場廃止基準として明確にされておらず、企業取引に支障が出にくい利点がある。
そのため、私的整理により、再建したかったが、不適切な会計処理が仇となった。

関連リンク
事業再生ADRについて(経済産業省 産業再生課)
会社更生法(平成14年12月13日法律第154号)
東京証券取引所(上場廃止基準) (リンク切れ) →代替リンク
大阪証券取引所(上場廃止基準) (リンク切れ) →代替リンク

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